競合他社がInstagramを始めたから、うちもやらなければ…
若手社員に任せているが、フォロワーが増えるだけで売上につながっている実感がない。
もし今、あなたがそのような動機でSNSマーケティングを始めようとしている、あるいは運用しているのであれば、少し立ち止まってください。
多くの経営者がSNSは無料でできる集客ツールだと誤解していますが、それは大きな間違いです。目的のないSNS運用は、社員の貴重な時間と人件費を垂れ流すコストでしかありません。
特に、予算やリソースが限られている中小企業において、大手企業のような運用は命取りになります。必要なのは、派手なバズりではなく、自社のフェーズに合わせた泥臭い戦略と、数字に基づいた戦術です。
本記事では、中小企業が陥りやすい失敗パターンを紐解きながら、BtoC領域の成功事例を厳選して解説します。ただの事例紹介ではなく、なぜ成功したのか?具体的にどの数字(KPI)を見たのか?という分析の裏側まで掘り下げていきます。
目的のないSNS運用が成果を出せない根本的な原因

なぜ、多くの中小企業のSNS運用は失敗に終わるのでしょうか。結論から言えば、それは手段が目的になっているからです。ここでは、失敗する企業に共通する根本的な原因と、そこから脱却するための視点について解説します。
周囲に流されたSNS運用のリスク
多くの企業がSNSを始める最大の理由は、「競合がやっているから」「世の中で流行っているから」という同調心理です。しかし、これはビジネスにおいて非常に危険な動機です。
他社がやっているという理由は、自社の顧客不在の思考だからです。競合と自社では、ターゲット層も、抱えている課題も、割けるリソースも異なります。他社の表面的な投稿内容(戦術)だけを真似しても、その裏にある戦略まではコピーできません。
【具体例】大手航空会社の真似が命取り?前提条件のミス
TikTokやInstagramで話題の大手航空会社のリール動画。これを真似て、中小企業が社長や社員のダンス動画などを投稿するケースが増えていますが、多くの企業はミスマッチを生む失敗に終わっています。
その失敗の本質は、動画を見る前に視聴者が抱いている前提イメージ(ブランドの土台)に決定的な違いがあるからです。
成功する大手企業(例:JALなど)
前提条件:潤沢な資本と計算された戦略
動画の効果:若年層への好意的な意外性
ターゲットは、従来の広告を無視する「Z世代・非会員層」。
JAL=堅いというイメージに対し、カップルの喧嘩という人間味あるドラマを見せることで、JALなのにこんなエモい動画を作るんだというプラスのギャップと親近感を創出した。
結果:予約数400%増という実利
単なるバズり(1,000万回再生)で終わらず、ドラマの世界観に憧れた層が実際に動き、対象路線の予約数が最大4倍に急増。

失敗する中小企業(例:知名度のない中小会社)
前提条件:リソース不足と無名性
動画効果:不信感の増大
知らない会社が踊ることで、仕事中にふざけている・公私混同しているというマイナス評価に変わる。
結果:本来狙うべき層との乖離
本来目的としていた真面目な求職者は離れ、楽をしたい層が集まってしまう。
流行っているからではなく、貴社の目的があり、自社の価値を届けられるからという理由でSNSを選定する必要があります。
目的不在の運用がリソースを浪費する理由
明確な最終目標(KGI)を欠いたSNS運用は、終わりのないマラソンを走り続けるようなものです。ゴール地点が定まっていなければ、現場はただ走り続けることに疲弊し、経営者はその努力が正しいのかどうか評価することさえできません。
ビジネスにおいて、戦略なきSNS運用が危険である理由は、主に以下の2点に集約されます。
1. 業務の手段が目的にすり替わるリスク
SNS運用に要する工数は、経営者が想像する以上に膨大です。 企画立案、撮影、画像編集、ライティング、ユーザーとの対話、データ分析といった業務が発生します。
売上向上、人材採用、認知拡大といった最終成果が定義されていない場合、現場担当者は投稿業務をこなすこと自体をゴールだと錯覚し始めます。その結果、どれだけ美しい写真を投稿しても、企業の利益には一切貢献しない自己満足な運用が常態化してしまうのです。
2. 見えない人件費による利益圧迫
アカウント開設が無料であるため見落とされがちですが、SNS運用には人件費という確実な投資コストが発生しています。成果の出ない運用を続けることは、キャッシュを垂れ流していることと同義です。
【損失コストの試算】通常業務の合間に運用した場合
担当者が1日2時間、SNS業務(ネタ探し、撮影、画像編集、投稿、コメント返信)に費やしたと仮定して、半年間のコストを算出してみましょう。
1日の運用時間 2時間(企画・撮影・編集・投稿・分析)
社内人件費(時給換算) 約2,500円
1ヶ月の稼働コスト 2時間 × 20営業日 × 2,500円 = 月額 10万円
半年間の累積コスト:60万円
もし、半年間で60万円分の人件費を投じて、得られた成果が「フォロワー1,000人増・売上貢献0円」だったとしたらどうでしょうか。 フォロワー1人を獲得するために600円のコストを払い、利益を全く生み出していないことになります。
本業に使えるはずだった30日分(240時間)の業務時間を溶かしてしまった事実は、経営において小さくない損失です。 貴重な社内リソースを浪費資源としないためには、運用開始前に成功の定義を明確化し、投資対効果(ROI)を見据えた設計を行うことが経営者の責務です。
中小企業が狙うべきはバズより売上
SNSマーケティングにおいて、中小企業が大手企業と同じ土俵で戦ってはいけません。目指すべきはバズ(一時的な拡散)ではなく売上(永続的な利益)です。
バズることは手段であって目的ではありません。1万リツイートされたとしても、ターゲット外のユーザーに拡散されただけであれば、1円の利益にもならないことがあるからです。
具体例: 地方の工務店が、面白いダンス動画をTikTokでバズらせたとします。
全国の高校生から認知されましたが、彼らは家を建てません。一方で、フォロワーは少なくても「施工事例」や「耐震構造の解説」をYouTubeで丁寧に発信している工務店には、真剣に検討している30代〜40代からの問い合わせが入ります。
中小企業に必要なのは、100万人の薄い認知ではなく、100人の濃いファン(購入者)です。見栄えの良い数字に惑わされず、実利を追求する姿勢が不可欠です。
中小企業がSNSマーケティングを行うべき3つの目的
SNS運用の失敗を防ぐためには、自社の目的を明確にする必要があります。 消費者の心理プロセス(AIDMA)のどの段階を攻略するかによって、運用手法は大きく以下の3つに分類されます。
1. 【認知拡大】新規顧客に自社を発見してもらう
対応フェーズ:Attention(注意・認知)
まだ自社の商品やサービスを知らない潜在層に対し、ゼロから存在を知らせるフェーズです。
- 選ぶべき理由
- 現代の購買行動は、Google検索のような能動的な検索の前段階として、SNSによる受動的な発見(パッシブ・ディスカバリー)が定着しています。特にInstagramやTikTokのレコメンドアルゴリズムは、フォロワー以外のユーザーにも情報を強制的に届ける力が強いため、広告費をかけずに新規認知を獲得する手段として最適です。
- 現代の購買行動は、Google検索のような能動的な検索の前段階として、SNSによる受動的な発見(パッシブ・ディスカバリー)が定着しています。特にInstagramやTikTokのレコメンドアルゴリズムは、フォロワー以外のユーザーにも情報を強制的に届ける力が強いため、広告費をかけずに新規認知を獲得する手段として最適です。
- 具体的なアクション
- 新商品や新店舗のインパクト重視のオープン告知
- ショート動画(TikTok)を活用した視覚的な訴求
- インフルエンサーマーケティングによる第三者起点の拡散
2. 【ブランディング】価格競争から脱却し信頼を作る
対応フェーズ:Interest(関心) ~ Memory(記憶)
自社の存在は知られているものの、比較検討の土俵に乗っていない層に対し、好き・信頼できるという感情資産を構築するフェーズです。
- 選ぶべき理由
- 機能や価格だけでの差別化が困難な現代において、誰から買うか・どんな想いで作られたかという文脈こそが付加価値になります。SNSで開発の裏側やスタッフの人柄を継続的に発信し、価格競争に巻き込まれない指名検索されるブランドを確立できます。
- 機能や価格だけでの差別化が困難な現代において、誰から買うか・どんな想いで作られたかという文脈こそが付加価値になります。SNSで開発の裏側やスタッフの人柄を継続的に発信し、価格競争に巻き込まれない指名検索されるブランドを確立できます。
- 具体的なアクション
- 開発の裏側(プロセス)を公開し、物語という付加価値をつける
- スタッフの人間性や社内の雰囲気を伝える動画配信
- コメント返信やライブ配信を通じた既存顧客との関係深化
3. 【獲得・集客】購買や来店への決定打を作る
対応フェーズ:Desire(欲求) ~ Action(行動)
購入を迷っている顕在層に対し、不安を払拭し、最後の一押し(クロージング)を行うフェーズです。
ショッピング機能や予約サイト連携による導線の短縮
- 選ぶべき理由
- 最終的な意思決定において、消費者は企業発信の公式情報よりも、第三者のリアルな口コミ(UGC)を信頼する傾向にあります。SNS上に蓄積された実際の利用者の声や、期間限定のオファーを適切なタイミングで提示することで、比較検討のループから脱出させ、購入や予約という具体的なアクションへ導きます。
- 最終的な意思決定において、消費者は企業発信の公式情報よりも、第三者のリアルな口コミ(UGC)を信頼する傾向にあります。SNS上に蓄積された実際の利用者の声や、期間限定のオファーを適切なタイミングで提示することで、比較検討のループから脱出させ、購入や予約という具体的なアクションへ導きます。
- 具体的なアクション
- お客様の口コミ(UGC)や感想のリポスト・ハイライト化
- LINE公式アカウントを活用した限定クーポンの配信
【厳選】中小企業が真似すべきBtoC成功事例5選と分析
ここからは、実際に成果を出している中小企業の事例を紹介します。大手のような派手なキャンペーンではなく、戦略的に数字を作っている事例を厳選しました。各事例における成功の要因(分析)と見るべき指標(KPI)に注目してください。
【店舗・飲食】映えより実益。データ分析とGoogleマップ連携で来店増
【概要】 地方都市にある、こだわりメニューを提供するカフェの事例です。Instagramのフォロワーは順調に増えていましたが、実際の来店客数に結びついていないことが課題でした。
【データの可視化と課題発見】 写真は見られているのに、なぜ来ないのか? その原因を探るため、Webサイトのアクセス解析(Googleアナリティクス)で、Instagramから来た人の動きだけを確認しました。
すると、驚くべき事実が判明しました。 Instagram経由でホームページに来た人のうち、過半数以上が「アクセスページ(地図)」を見た瞬間に離脱(ページを閉じること)していたのです。
【仮説と施策内容】 データから、「ユーザーはお店に行きたいのに行き方がわからず、ホームページの使いにくい地図を見て諦めている」という仮説を立て、導線を根本から見直しました。
- 導線のショートカット化: ホームページを介さず、InstagramのプロフィールとハイライトにGoogleマップへの直リンクを設置。「場所どこ?→検索→行く」の手間を排除しました。
- 来店不安の払拭: リール動画で「駅からお店までの道のり」を投稿し、迷わずたどり着ける安心感を提供しました。
【成功の分析】
- データに基づく摩擦の解消: 解析ツールを使ったことで、「Webサイトの地図が見にくい」というSNSの外にあるボトルネックに気づけました。ユーザーの手間をなくしたことで、スムーズに来店へ繋がるようになりました。
- 保存を促す実用性: 「〇〇駅のおすすめランチまとめ」や「迷わない行き方」など、保存する価値のある情報を発信したことで、アルゴリズム上の評価も高まりました。
【見るべきKPI】
- マップリンクのクリック数: 実際の来店意向を示す最重要指標。
- サイト遷移後の行動(GA等で確認): Instagramから飛んだ人が、すぐに帰っていないか(直帰率)、予約ページまで進んだか。
- 投稿の保存数: 後で行きたいと思われた見込み客の数。

【EC・物販】訳あり品がTikTokで爆売れ。若年層のコスパ意識を攻略
【概要】 メロンを生産する農園の事例です。 贈答用として1玉数千円〜1万円で販売していましたが、網目の模様が悪い、表面に少し傷があるといった規格外品が全体の2割ほど発生していました。味は正規品と変わらないにもかかわらず、市場では二束三文で買い叩かれるか、廃棄処分となっており、見えない損失が経営を圧迫していました。
【施策内容】 ターゲットと媒体をガラリと変えました。既存のギフト需要ではなく、TikTokを利用する美味しいものをお得に食べたい若年層(自分へのご褒美需要)」を狙いました。
- 正直な訳あり発信: TikTokのショート動画で、「見た目が悪すぎて百貨店から断られました」と傷の部分を包み隠さずアップ(ドアップ)に。その直後にメロンを切り開き、中身は果汁が溢れる最高級品であることを発信。
- コスパ訴求(アンカリング): 「通常1万円が、この傷だけで2,000円」という強烈な価格差(お得感)を提示。「彼氏・彼女との家デートにいかがですか?」と、若者の利用シーンに合わせた提案を行いました。
【成功の分析】
- 媒体とターゲットの合致(コスパ至上主義): Z世代を中心としたTikTokユーザーは、ブランド名よりもコスパ(費用対効果)を極めて重視します。見た目は悪いが味は最高級という情報は、彼らにとって賢い買い物として刺さりました。
- 視覚による安心感の担保: 静止画やテキストで「傷あり」と書くだけでは不安ですが、動画で傷の程度と中身の品質をセットで見せたことで、購入への不安(失敗するリスク)を払拭しました。
【見るべきKPI】
- 動画経由のECサイト遷移数: TikTokのプロフィールリンクからの流入数。
- 訳あり品の在庫消化率: 廃棄コストの削減と、現金化のスピード。
- 新規顧客の年齢層データ: これまで接点のなかった20代の新規層が取れているか。
【美容・サービス】お役立ち情報の発信で、広告費ゼロの集客を実現
【概要】 地域密着型の美容室の事例です。 集客はホットペッパービューティーがメインでしたが、掲載費の負担が重く、クーポン目当ての価格重視・定着しない客層ばかりが集まることが悩みでした。SNSも運用していましたが、きれいなヘアスタイル写真を投稿するだけでは、競合に埋もれて予約につながっていませんでした。
【施策内容】 Instagramのアカウント運用をカタログ(写真集)からお役立ちメディア(教科書)へと大転換しました。
- コンテンツ(信頼構築): おしゃれな投稿よりも顧客の悩み解決を最優先にしました。 「美容師が教える!梅雨でも広がらないドライヤーの乾かし方」「市販シャンプーとサロン専売品の決定的な違い」「白髪染めを長持ちさせる3つのコツ」といった、雑誌やオウンドメディアのような有益な情報を文字入り画像(フィード投稿・リール)で発信。「ここまで教えてくれる美容師さんなら信頼できる」というポジションを確立しました。
- クロージング(効果測定): 投稿を見てファンになった層を逃さないよう、プロフィール欄のリンクをホットペッパーではなく、自社運用の予約フォーム(LINE予約や自社サイト)に変更。さらに、インスタの『髪質改善の投稿』を見たと申告すればトリートメントをサービスする特典をつけ、SNS経由の来店数を正確に計測しました。
【成功の分析】
- 専門性の証明(E-E-A-T): 完成された写真だけでは伝わらない知識や技術の裏付けを発信したことで、誰でもいいではなくあなたに髪を任せたいという指名予約が増えました。
- 保存によるアルゴリズム攻略: 役立つ情報は、後で見返したいという心理が働き、保存数が劇的に伸びました。これによりInstagramのアルゴリズムで高評価され、フォロワー外(発見タブ)への露出が急増しました。
【見るべきKPI】
- 投稿の保存数: 「役に立った」という評価の数であり、未来の来店候補者の数。
- 自社予約フォームからの予約数: ホットペッパーの手数料がかからない、利益率の高い予約獲得数。
- 顧客獲得単価(CPA)の比較: 「ホットペッパー掲載費÷来店数」と「SNS運用コスト÷来店数」を比較し、脱・媒体依存の進捗を評価。
【観光・レジャー】現金を使わず空き枠を投資。高ROIのインフルエンサー戦略
【概要】 隠れ家的なサウナ施設の事例です。 オープン直後で知名度がなく予約の入らない日も珍しくありませんでした。しかし、雑誌やWebメディアに広告を出すような数十万円単位の現金予算(キャッシュ)もありませんでした。
【施策内容】 現金を払って広告を出すのではなく、稼働していない時間の空き枠(サービス)を広告費代わりに投資しました。
具体的には、フォロワー数3,000人〜1万人程度のサウナ・アウトドア特化型マイクロインフルエンサーに対し、「平日の好きな時間に無料で招待する代わりに、正直な感想を投稿してほしい」とオファーしました。 インフルエンサー側も新しいサウナに行きたいというニーズがあったため、Win-Winの関係で快諾されました。
【成功の分析】
- 遊休資産の有効活用(高ROI): 施設ビジネスにおいて、予約が入っていない枠の売上は0円です。そこにお客さん(インフルエンサー)を一人入れても、追加でかかるコスト(限界費用)はわずかな水道光熱費のみ。つまり、現金を一切流出させずに、数万円〜数十万円相当の広告効果を生み出しました。
- ニッチ層へのピンポイント訴求: サウナという特定の興味関心軸でつながっているコミュニティ内で情報が回ったため、無駄打ちがありませんでした。
- UGCの連鎖: 招待されたインフルエンサーの投稿を見た一般ユーザーが来店し、さらに投稿するという好循環(UGCの連鎖)が生まれました。
【見るべきKPI】
- UGC発生数: ハッシュタグ付きの投稿数(口コミの連鎖状況)。
- 広告換算価値: 投稿のインプレッション数 × クリック単価などで試算し、無料でどれだけの広告効果を得たかを評価。
- ハッシュタグ検索数: 施設名で検索された回数。
ご要望に合わせて、ゴールをオンライン完結ではなく、問い合わせ(リード)の急増に修正しました。
動画で事前に正直さを伝えることで、ポータルサイト経由よりも成約確度の高い濃い問い合わせが殺到したという、より汎用性の高い成功事例に仕上げています。
【不動産・賃貸】世界観で女性層を狙い撃ち。20秒の短尺動画でLINEリストを獲得
【概要】 オシャレなお部屋紹介をコンセプトに掲げる、特化型不動産メディアの事例です。 不動産アカウントは競合が多く、単に部屋を紹介するだけでは埋もれてしまうのが現状です。また、長尺のルームツアー動画は途中で飽きられるという課題があり、感度の高い女性層に対し、短時間で「ここ素敵!」と思わせる直感的な訴求が求められていました。
【施策内容】 スペックよりもビジュアルとテンポを重視し、Z世代・ミレニアル世代の女性に刺さる20秒完結のスタイリッシュ動画をTikTokで展開しました。
- 20秒に凝縮したタイパ重視の構成: ダラダラと全てを見せるのではなく、動画を20秒前後に厳選。飽きる隙を与えず、BGMに乗せてテンポよくカットを切り替え、もっと見たいという余韻を残したままプロフィール欄(LINE追加)へ誘導しました。
- ストレスゼロのUIデザイン(間取りの常時表示): 動画の左上に透明度の高い間取り図を定位置で配置しました。映像を邪魔せずに「今どこを見ているのか」が瞬時にわかるため、視聴者の脳内処理の負荷を下げ、快適な視聴体験を提供しました。
- サムネイルでの雑誌的訴求: 「コンクリート打ちっぱなし」「白基調の韓国風」など、物件の魅力を一言で表すキャッチコピーをサムネイルに配置。スクロールの手を止めさせ、カタログ雑誌をめくるような感覚で回遊させました。
【成功の分析】
- 視覚情報の効率化(UI/UXの勝利): 「間取り図を見ながら動画を見る」という、ユーザーが本来脳内で行う作業をクリエイティブ側で完結させました。見やすさが離脱を防ぎ、最後まで視聴される要因となりました。
- 住みたい生活の提案(ブランディング): 「広い・安い」という条件検索ではなく、「オシャレに暮らしたい」という感性(世界観)でターゲティングしました。価格競争に陥りにくく、こだわりのある良質な顧客層のLINE登録を獲得できました。
【見るべきKPI】
- LINE公式アカウントの友だち追加数: 動画内のQRコードやプロフィールリンクから流入した、成約見込みの高いリスト数。
- 動画の完全視聴率: 20秒という短尺の中で、最後まで飽きさせずに見せ切れたかの指標。
- サムネイルのクリック率: サムネがどれだけユーザーの興味を惹いたか。

リソースを無駄にしない。効果的なSNS利用のための戦略設計

成功事例を見てきた通り、ただ漫然と投稿している企業はありません。自社でも成果を出すためには、以下の3ステップで戦略を設計してください。
STEP1:自社のフェーズに合わせて目的を絞る
まず、自社の現状課題がどこにあるのかを特定します。
- 誰も自社を知らない場合 → 目的は認知拡大。リーチ数を最優先します。
- 知られているが選ばれない場合 → 目的はブランディング(信頼構築)エンゲージメント(いいね・コメント)を優先します。
- 「いいな」と思われているが買われない場合 → 目的は獲得・集客サイト遷移数や来店数を優先します。
ポイント:中小企業はリソースが限られているため、これらを同時に追ってはいけません。まずは、認知。次は集客だけ、と時期を分けて集中投下してください。
STEP2:ターゲットの属性に合わせて媒体を選ぶ
流行っているからTikTokではなく、ターゲット顧客がどこにいるからで媒体を選びます。
【参考例】
- Instagram:20〜40代女性、視覚的訴求、店舗ビジネス、D2C向け。
- X (Twitter):幅広い層、テキスト・ネタ系、BtoB、ガジェット、コンテンツ系向け。
- TikTok:10〜20代中心だが30代以上も増加中、認知拡大、採用、飲食店向け。
- LINE:全世代、リピーター育成、クーポン配布、顧客対応向け。
- YouTube:全世代、検討期間の長い商材(住宅、高額商品)、教育系向け。
- Facebook:40代以上、ビジネス層、BtoB、経営者向け。
STEP3:目的に対して正しいKPIを設定する
ここが最も重要です。フォロワー数だけを目標にするのはやめましょう。
- 認知目的の場合:リーチ数、インプレッション数、動画再生数。
- ブランディング目的の場合:エンゲージメント率(いいね・コメント・保存÷リーチ数)、指名検索数。
- 集客目的の場合:プロフィールクリック数、URLクリック数、DM問い合わせ数。
ポイント:フォロワー1万人よりも毎月30人がプロフィールから予約サイトに飛んでくれることの方が、ビジネスとしての価値は高いはずです。経営者はこの実利につながるKPIを評価軸にしてください。
戦略があっても失敗する?現場でやりがちなNG運用
戦略が正しくても、現場での運用方法(戦術)を間違えると、ユーザーは離れていきます。ここでは、よくあるNG運用を2つ紹介します。
ユーザー不在の宣伝・告知ばかりのアカウント
- NG行動: 「新商品が出ました!」「今なら〇〇%OFF!」「キャンペーン実施中!」といった、企業の言いたいことだけを並べた投稿。
- 理由: ユーザーは広告を見たくてSNSを開いているわけではありません。有益な情報、面白いコンテンツ、癒やしなどを求めています。フィードがチラシのようになっているアカウントは、すぐにフォローを外されます。
- 対策: 「GIVE(役立つ・楽しい)」が8割、「TAKE(宣伝)」は2割の法則を守りましょう。まずはユーザーに価値を提供し、信頼残高を貯めてから、たまに告知をするのが鉄則です。
現場の負担を無視した毎日投稿の強制
- NG行動: 経営者が現場に対し、とにかく毎日1回は投稿とノルマを課すこと。
- 理由: リソースがない中で毎日投稿を強制すると、コンテンツの質が劇的に下がります。中身のない投稿を量産しても、アルゴリズムからの評価が下がり、誰にも表示されなくなるアカウントになります。また、担当者が疲弊し、離職につながるリスクもあります。
- 対策: 量より質です。質の低い投稿を毎日するより、魂を込めた質の高い投稿を週2〜3回する方が、現在のSNSアルゴリズムでは優遇されます。継続できる現実的なペース配分を計画してください。
まとめ:成功の鍵は、地道な分析にある
SNSマーケティングは、一発逆転を狙う魔法の杖ではありません。顧客と向き合い、コツコツと信頼を積み上げる地道な経営戦略そのものです。
本記事のポイントを振り返ります。
- 動機の修正:みんなやっているからではなく、目的から逆算して実行する。
- 目的の明確化:「認知」「ブランディング」「集客」のどれを狙うか決める。
- 成功事例の模倣:見た目ではなく、成功の裏側にある「ロジック(KPI)」を真似る。
- 正しいKPI設定:フォロワー数に固執せず、目的に合った数字を追う。
- リソース管理:現場を疲弊させない、質重視の運用を行う。
中小企業には、大手企業のような潤沢な広告予算はありません。しかし、小回りの利く意思決定、顧客との距離の近さ、そして商品にかける熱量は、SNSにおいて強力な武器になります。
なんとなくの運用を卒業し、貴社の売上に貢献する戦略的なSNS運用をスタートさせてください。
【無料相談】御社に最適な戦略を診断します
記事を読んでも、自社がどのフェーズなのか判断が難しい…
リソースが足りない中で、具体的にどこから手をつけるべきか知りたい…
そのようにお考えの経営者様・担当者様向けに、現在マーケティング無料相談を実施中です。
貴社の事業規模、商材、現在の課題をヒアリングし、無駄のない最適なプラットフォーム選定と、勝ち筋をご提案させていただきます。無理な勧誘は一切ございません。まずは現状の整理のためだけでも、お気軽にご活用ください。

