マーケティングの種類とそれぞれの特徴、適切に選択するための分析方法を紹介

ビジネスを成功に導くためのマーケティングの種類をわかりやすく紹介していきます。自社に必要とする手法の選び方を学び、競争に勝ち抜くための効果的な手法を見つけて活用しましょう。本記事ではさまざまなマーケティングの種類をそれぞれ概要と特徴にわけて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

マーケティング戦略の概要と目的

マーケティング戦略とは、マーケティングをする上での方向性を指します。マーケティングを展開していくための土台となるものなので、十分に戦略の策定をしてから実行に移しましょう。市場ニーズの多様化が進む現在では、マーケティング戦略の選択肢も充実化しているので、狙うべき市場を見極めて自社の立ち位置を確立させるのが目的です。

マーケティングの種類と特徴

マーケティングには、様々な種類がありデジタルを活用するもの、リアルで行うものなどがあります。そのため、達成したい目標に向けて結果を円滑に進めるために適した方法を選ぶことがポイントになります。それでは、それぞれのマーケティングの種類をわかりやすく解説します。

デジタルマーケティング

Webマーケティング

Webに特化したマーケティングで、Webサイトのアクセス数や顧客の動きを分析し、集客率の増加や製品・サービスの申し込み、問い合わせに繋げるのが目的のマーケティング手法です。
代表例:Web広告、SEO

コンテンツマーケティング

動画、SNSやブログなどで有益なコンテンツを発信して消費者に認知してもらい、新規顧客の育成、リード獲得などにつなげる手法です。インバウンドマーケティングを実現させるための手段とも言えます。コンテンツには製作費、人件費が発生するが、作成したものは企業の保有するコンテンツとして半永久的な資産となるため、近年では力を入れる企業が増えているのが特徴です。

検索エンジンマーケティング(SEM)

SEM(検索エンジンマーケティング)とは、Google、Yahoo!などの検索エンジンを利用したマーケティング手法で、「リスティング広告」「SEO対策」が挙げられます。リスティング広告とは、検索エンジンに広告費を支払うことで検索結果の上位に表示されるようにする手法です。

SEO対策とは、「検索エンジン最適化」という意味を持つ言葉で、自社サイトの検索結果を上位に表示させるため、検索エンジンの評価アルゴリズムを理解して自社サイトの最適化を行う手法です。特徴として、短期的には広告費の掛かるリスティング広告は効果が高く、SEOは検索エンジンのアルゴリズムによる評価が影響するので効果は比較的低くなる傾向にあります。

SNS、動画マーケティング

SNSアカウントを運用するマーケティング手法です。特徴として、代表例にX(旧Twitter)、Facebook、Instagram、TikTok、LINEなどが挙げられ、発信だけでなくシェアやコメントなどでコミュニケーションができる点が強みです。SNSマーケティングの立ち位置は意味合いが似ているので「コンテンツマーケティングの分野に含む」か「独自の領域」かで、専門家の意見が分かれることもあります。

O2Oマーケティング(オンライントゥーオフライン)

O2Oマーケティングとは、顧客をオンラインからオフライン、またはオフラインからオンラインに誘導するマーケティング手法です。たとえば、Web広告、SNSで認知され、そこからアプリで配布されたクーポンを通して実店舗の商品を購入してもらう流れで、新規顧客の獲得だけでなくリピーターにもアプローチできる手法です。店舗に訪れたユーザーがその後ECサイトで購入するように、オフラインからオンラインへ誘導できることも特徴になります。

マスマーケティング

不特定多数のユーザーに対し、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などのマスメディアで統一的なプロモーションを行うマーケティングです。身近な例をあげるとテレビCMで流れている、日用雑貨、保険、車、化粧品、飲料、食品など多くの製品・サービスでマスマーケティングが行われているのが分かります。特徴として、多くのユーザーをターゲットにする以上、多くのコストが掛かるため、大企業を中心に「大量生産、大量販売」を前提にするマーケティングです。

インバウンドマーケティング

インバウンド(内向き)マーケティングとは、顧客に製品・サービスを自発的に興味を持って選んでもらう、ほぼすべてのマーケティング方法を含む用語です。特徴として、低コストで高い成果を実現できる可能性のあるマーケティングといわれており、現代のマーケターに注目されています。注目されているインバウンドマーケティングの背景には、スマートフォンの普及により顧客動向が変化したことやデジタルマーケティングの加速により、企業がWebサイトの運用に力を入れるようになったことが挙げられる。

アウトバウンドマーケティング

アウトバウンド(外向き)マーケティングとは、オーガニックな集客をするのではなく、顧客に積極的にアプローチするマーケティング方法です。このマーケティング方法は製品・サービスに興味の無い人たちにも積極的にアプローチするため、マイナスイメージを与えてしまうこともあるのが注意点になります。このタイプの手法を用いる場合は、自社の目標、KPIをしっかり検討し戦略に活用することが重要です。

リアルマーケティング

リアルマーケティングとは、街頭サンプリング、実演販売など直接的にユーザーに製品・サービスを認知してもらうためのマーケティング手法です。試供品配布、セミナーなど直接、製品・サービスを対面でマーケティングを行うので、リピーターだけでなく、潜在顧客にも認知力向上や購買意欲の向上を促せるのが特徴になります。

マーケティングの分析で使われる手法

マーケティングで成果をあげるためには、自社の内部環境や、競合他社、市場の外部環境の情報を知る必要があります。この項目では、マーケティングに活用する分析手法を紹介します。

3C分析      

Customer(市場・顧客)Competitor(競合)Company(自社)

3C分析は市場環境分析に使われるフレームワークで、市場・顧客のニーズを探ります。それから競合他社がどのような対応しているか、顧客の評価を加えて、強み、弱みを洗い出します。これらを踏まえて自社の価値や魅力をどのように広めれば良いかの判断に活用します。3項目の表面をなぞるのではなく、顧客が誰で、どんな価値基準を持っていて、価値基準別の競合がどこで、その上で自分たちの戦う土俵がどこで、どんな価値を提供するのかを考えることが重要で、マーケティングフレームワークワークで最も有名なフレームワークの1つですが、奥が深いものでもあります。

SWOT分析

Strength(強み)Weakness(弱み)Opportunity(機会)Threat(脅威)
内部環境である自社の「強み」「弱み」と、外部環境である変化などの「機会」、競合他社の動きなどの「脅威」を把握し改善策や方向性を見つけ出すことを目的とします。

自社にとってプラス面だけでなくマイナス面な要素にも目を向けることで、現状を把握するだけでなく将来を見据えることが出来る手法になります。

STP分析

「Segmentation(セグメンテーション:区分け)」「Targeting(ターゲティング:標的設定)」「Positioning(ポジショニング:位置決め)」

「セグメンテーション」で市場の全体像を把握し、「ターゲティング」でその中から狙うべき市場を定め、「ポジショニング」で競合他社との位置関係を決めるという流れで誰(Who)に価値を提供するのか定めるフレームワークです。

セグメンテーション:セグメント(集団)に不特定多数の人間のニーズで分けることで、それぞれに適応した戦略が立てられ施設立案が可能になります。セグメンテーションとは市場の細分化で年齢、性別、形態などで分けるデモグラフィックなものや、地域で分けるジオグラフィックなものがありますが、最もマーケティング施策に効果的なのは顧客の価値基準で分けるサイコグラフィックな分け方になります。


ターゲティング:セグメンテーションで分けたユーザー層に自社の製品・サービスに合うターゲットを見つけることで、

効果的なマーケティング戦略に繋げることが出来ます。


ポジショニング:自社の製品・サービスを客観視したときに、競合他社との差別化が図れているか立ち位置を明確にして、ユーザーに求められている事をマーケティング戦略に取り入れることができます。

4P分析

Product(製品・商品)Price(価格)Promotion(広告、販売販促)Place(流通)

4P分析はマーケティング施策立案に使われるフレームワークで、売り手側目線で、「どのような製品・商品を提供するか」「その製品・商品はいくらで提供するか」「その製品・商品をどのように知ってもらうか」「どのように届けるか」を明確にします。その製品のターゲットになる人たちが、どんなニーズを持っているのか、そして自社の製品はターゲットのニーズにどうやって応えることが出来るかを明確にすることが出来ます。

4C分析

Customer Value(顧客価値)Customer cost(顧客コスト)Convenience(利便性)Communication(コミュニケーション)

上記の4P分析は売り手目線に対して、4C分析は買い手側の目線で、顧客価値とは製品、商品に顧客が求めるものを指します。その製品に対し機能性、品質、ブランド、デザイン、アフターケアなど様々な価値を求めていて、それに基づいたコストの設定をすることが重要です。利便性においてもサービスの提供方法や立地も考えて、いかに分かりやすく扱いやすいものにするかも重要になります。コミュニケーションはどんな意思疎通によって商品・サービスを届けることができるかを考えるものになります。

PEST分析

Politics(政治)Economy(経済)Society(社会・ライフスタイル)Technology(技術)

この4つは企業を取り巻く変化し続ける外部環境でいずれも自己的に制御できない要因ですが、自社に影響を与えるものになります。そのため、PEST分析は世の中の動向を理解し、将来起こりうる変化を予測し対応することでチャンスやリスクを捉えることが目的のフレームワークとして効果的です。

5F分析

業界内での競争、業界への新規参入者、代替品の存在、買い手(顧客)の交渉力、売り手(サプライヤー)の交渉力

5F分析は5Forces(ファイブフォース)分析と呼ばれ、「5つの脅威」という視点で業界を分析し、以下の項目を整理することで業界の収益性や成長性を見積もるためのフレームワークです。

業界内での競争:競合が増えれば増えるほどにオリジナル性やブランド力がなければ収益が見込めなくなるため、自社も含めた競合を分析し、どのくらい激しい業界なのか知る必要があるため、現状のシェアがどうなっているかを調査します。

新規参入の脅威:他社が新規参入しやすいかどうかは今度のシェア分配に影響がある項目のため調査が必要です。参入障壁が低ければ次第に価格競争が起こり収益性が下がる可能性があります。逆にハードルが高い(技術面など)場合は魅力もあり、一定以上の収益確保が見込めます。

代替品の脅威:直接的な競合でなくても、同じ価値を見いだせるものがないかを分析します。例えば、アイスは甘いものを食べたい顧客のニーズに対応しますが、同様に同じような場所に置かれているデザートも同じニーズを満たすことができる代替品になります。同一業界だけ見ていて、他業界にシェアを取られることがないかを見積もる必要があります。

売り手の交渉力:仕入部材の需要過多の度合い、差別化のしやすさ、価格相場のブラックボックス性、供給業者の寡占度によって、原価コントロールがしやすいかどうかを確認します。売り手が強い場合は収益性の担保が難しくなる可能性があります。

買い手の交渉力:供給過剰の度合い、差別化のしにくさ、価格相場のオープン性、買い手の寡占度の度合いによって売上のあげやすさが決まります。業界の状態や自社が入る際のポジションがどうなるかを推定しておきましょう。

まとめ

さまざまなマーケティングの種類を紹介しました。現在の自社に活用できそうな手法を見つけ、マーケティング活動を効率的かつ効果的に実践すれば成果に繋がっていくので、フレームワークと併せて十分に計画を策定することが重要になります。

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