なぜか手元に利益が残らない……
競合他社が値下げをした。これ以上下げたら赤字だが、合わせないと顧客を奪われてしまう……
もし今、貴社がこのような悩みを抱えているのなら、それはビジネスの構造そのものが価格競争という出口のない迷路に迷い込んでいる証拠です。
多くの経営者がここで一つの誤解をしています。 価格競争に巻き込まれるのは、ウチの商品に圧倒的な魅力がないから・もっと品質を上げれば、いつか適正価格で売れるはずだ
断言します。その努力の方向性は、残念ながら間違っています。 御社が価格競争から抜け出せない原因は、商品の質ではありません。 本当の原因は、誰に、どのような価値を、どう届けるかという設計図(ビジネスモデル)にあります。
良いものを作れば売れるという職人気質の考え方は、情報過多の現代では通用しません。 どれだけ良いものでも、その価値が顧客に伝わっていなければ、顧客にとって判断基準は価格という最もわかりやすい数字ひとつになってしまうからです。
本記事では、中小企業が安売りの消耗戦から脱却し、高くても御社から買いたいと言われるための具体的な戦略を、マーケティングのプロの視点で徹底解説します。
今の苦しい状況を変えるためのヒントが、ここにあります。ぜひ最後までお読みください。
なぜ、良い商品を作っている貴社が価格競争から抜け出せないのか?

技術力には自信がある。他社よりも丁寧な仕事をしている。
そう自負している企業ほど、泥沼の価格競争に陥りやすい傾向があります。
品質が高いのなら、高く売れて然るべきです。 それなのに、なぜ現実は相見積もりで買い叩かれてしまうのでしょうか。 その背景には、売り手(貴社)と買い手(顧客)の間にある、認識のギャップが存在します。
顧客には、貴社のこだわりと他社との違いが伝わっていない
顧客には、お店や会社のこだわりと、他社との違いが十分に伝わっていないことが考えられます。
作り手である皆様が大切にしているこだわりも、お客様に伝わる言葉に翻訳して伝えない限り、その価値は考慮されず、単に料金という数字だけで比較されてしまう結果になりかねません。
判断材料が少ない場合、人はどのように行動するでしょうか。おそらく、失敗したくないという心理が働き、最も明確で比較しやすい指標である価格を見て判断せざるを得ない傾向があるのではないでしょうか。
【具体例】:自宅の修理やリフォームを検討し、2社から見積もりを取ったシーン
🏢 A社:安さを売りにする会社
見積額: 10万円
内容: 見積書には「一式工事」とだけ記載
説明: 地域最安値
🏢 B社:品質重視だが、説明が不足している会社
見積額: 15万円
内容: 見積書には「一式工事」とだけ記載
説明: 他社よりも丁寧な仕事をします。
顧客は建築のプロではないため、A社とB社の中身の違いは分かりません。
B社が心の中でうちは見えない下地も丁寧に補修していると思っていても、それが言葉や資料になっていなければ、お客様にとってはないのと同じです。
その結果、以下のように判断してしまう傾向があります。
お客様の心理(情報の非対称性)
顧客工事名は同じなのに、B社は5万円も高い
高い理由が分からないし、安いA社にしておこう
➡結果:価格競争に巻き込まれ、選ばれない
もし、5万円の差を翻訳して伝えていたら?



もしB社が、価格差の理由(=価値)をきちんと言語化して伝えていたら、結果は変わっていたかもしれません。
B社が伝えるべき価値の翻訳
塗料の違いを伝える:この5万円の差は塗料のグレードです。他社の塗料は約7年で色褪せますが、当社の塗料は15年美しさを保ちます。
長持ちの秘訣を伝える:実は、すぐ剥がれる原因は下地処理の手抜きにあります。私たちは塗装前に時間をかけて下地を補修するので、長持ちします。
お客様の反応(納得)



ただ高いわけではなくて、長持ちするという理由があるのか
とりあえず安く済ませるか、少し高くても長く持たせるか……
どちらが良いか考えよう
➡ 結果:ここで初めて高いという拒絶がなくなり、比較検討の土俵(スタートライン)に立つことができます。
お客様に専門知識がない場合、同じ工事なら安い方が良いと判断されてしまうのは自然なことです。
他社との5万円の価格差には、理由があるはずです。 それを黙っていても伝わるだろうと期待するのではなく、お客様が分かる言葉で翻訳して伝えなければ、せっかくの品質も単なる高い見積もりとして処理されてしまう可能性があります。
価値を必要としていない相手に売ろうとしている(ターゲットのミスマッチ)
安さを最優先する層をターゲットにしている限り、どれだけ努力しても価格競争からは抜け出せません。
【理由】 市場には必ず、2種類の顧客層が存在します。
価格重視層: 1円でも安いものを探すことに時間と労力をかける層。品質へのこだわりは薄い。
価値重視層: 自分の課題解決や満足度のためなら、適正な対価を支払うことを惜しまない層。
どれだけ手厚いサポートを用意しても、安さと手軽さを最優先する層にアプローチしている限り、価格競争から抜け出すことはできません。
【具体例】フィットネスジム :3か月30万円のパーソナルジム
ミスマッチ(ターゲットを広く行った場合)
ターゲット:なんとなく運動不足を解消したい人(手軽さ重視・不規則な生活習慣)
アピール:「食事を徹底管理します。」「運動不足解消を伴走でサポートいたします!」



えっ、月10万円? 高すぎるよ…
マシンだけ使えればいいのに…
マッチ(メインターゲットを絞った場合)
ターゲット:3ヶ月後の結婚式までに絶対に5kg痩せたい花嫁(結果・期限重視)
アピール:人生最高の写真を残すための短期集中ボディメイクコース



私の意志だけでは無理です。
プロの力で徹底管理してください。
御社の価値を本当に理解し、必要としてくれるお客様は誰なのか。 そのターゲットを見極めてアプローチを変えることが、不毛な価格競争から抜け出すための大きな転換点となります。
価値が伝わらないまま安売りを続けると訪れる危機


今はまだ体力があるから大丈夫。 そう思って価格競争に耐えている経営者様もいるかもしれません。
しかし、薄利多売のビジネスモデルには限界があります。 このまま突き進んだ先にあるのは、単なる赤字ではありません。企業の存続基盤そのものが崩壊する、恐ろしい未来です。
現場の疲弊:手間暇かけた仕事が安価な作業として扱われる
価格競争に勝つために価格を下げれば、同じ売上を上げるために、より多くの数をこなさなければなりません。 当然、現場の業務量は増えます。
従業員は、一つひとつの仕事に時間をかけられなくなります。 本来ならもっと丁寧に仕上げたい、もっと顧客の話を聞きたいと思っていても、効率優先、時間短縮の号令のもと、仕事を作業としてこなすことを強いられます。
良い仕事をして、お客様に喜ばれたい。そんな従業員の純粋な誇り(プライド)は傷つけられ、モチベーションは低下します。 結果として、優秀な人材から順に「この会社には未来がない」「自分の仕事が評価されない」と感じ、離職してしまいます。残るのは、他に行き場のない人材だけ……これでは、組織力は低下する一方です。
利益の圧迫:忙しいのに手元にお金が残らない
売上高(年商)は立派でも、利益率が低ければ会社にお金は残りません。「 今月も過去最高の売上を記録した。社員も残業続きで頑張っている。しかし、通帳を見ると資金繰りはギリギリ……」 このような状態は、いわゆる自転車操業です。
少し計算してみましょう。 もし御社の利益率が5%だとします。ここで競合に対抗して商品を10%値下げしたらどうなるでしょうか? 単純計算で、利益は消滅し、赤字に転落します。 元の利益額を確保しようとすれば、販売数量を何倍にも増やさなければなりません。
わずかな値引きが、経営の首をどれほど強く絞めるか。 不測の事態(原材料の高騰、主要顧客の倒産、災害など)が一度起きれば、即座に資金ショートし、倒産のリスクに直面します。
未来の消失:投資ができず、商品力が徐々に低下する悪循環
これが最も恐ろしいリスクです。 本来、利益とは企業の未来への投資原資です。
- より良い人材を採用するための費用
- 生産性を上げるための設備投資
- 次世代の柱となる新商品の開発費
- ブランドを広めるための広告宣伝費
利益がない企業は、これらに一銭もお金を使えません。 現状維持で精一杯になります。
一方で、適正価格で利益を出している競合他社は、その利益を次の投資に回します。最新の設備を入れ、優秀な人材を高給で雇い、さらに良い商品を開発します。 数年後、その差は絶望的なまでに開きます。 その時になって品質を上げようと思っても、もはや手遅れです。
価格競争を続けるということは、自社の未来を食いつぶしながら、今日の延命措置をしているのと同じことなのです。
価格競争から脱出する鍵は価値の翻訳と適切な相手選び
ここまでの話で、価格競争の恐ろしさは十分にご理解いただけたかと思います。 では、どうすればこの地獄から抜け出せるのでしょうか?
答えは、単純な値上げではありません。 中身が変わらないのに値段だけ上げれば、客離れが起きるのは当然です。
必要なのは、価値の翻訳と届ける相手(ターゲット)の変更です。 御社の商品(モノ)からかけがえのない価値へと昇華させるのです。
【What】機能の説明ではなく、顧客が得られる未来を語る
商品のスペック(機能)だけではなく、その先にあるベネフィット(顧客の未来)を語ってください。
顧客は商品そのものにお金を払うのではありません。 その商品を使うことで得られる良い変化や解決される悩みにお金を払うのです。
【具体例】高機能なマットレスを販売するシーン



へー、いいのかな?(他社と比較して安いの?)



悩んでたんだよな。 それが解決するなら多少高くてもいいかも
このように、ターゲットを見直し、伝え方を工夫するだけで、お客様の中での比較対象は変化します。これが価値の翻訳です。
【Who】その価値に高い対価を払ってくれる本当の顧客は誰か?
御社の商品を高くても欲しいと言ってくれる、具体的な一人を定義します(ペルソナ設定)。
「20代〜60代の男女」のような広いターゲット設定は、何も決めていないのと同じです。 メッセージが薄まり、誰の心にも刺さらなくなるからです。
自社の強みが最も活きる相手、その価値を最も高く評価してくれる相手は誰なのか。 そこを突き詰めることで、価格競争とは無縁の市場が見えてきます。
例えば、スピード対応が強みなら、時間に余裕のある大企業ではなく、急なトラブル対応に追われている中小企業の現場担当者がターゲットかもしれません。 ターゲットを絞り込むことで、専門性が高まり、「〇〇のことならこの会社」というポジションを確立できます。
【How】安さ以外の判断基準を持たせるブランディング
「信頼・安心・共感・ステータス」といった、数字では測れない付加価値(情緒的価値)を構築します。
人は論理(機能・価格)で比較検討し、最後は感情(好き・信頼)で決断します。 「ここのスタッフは親身になって相談に乗ってくれるから安心だ」 「このブランドを使っている自分が好きだ」
このような感情的なつながりができれば、顧客は他社の価格を見なくなります。 「他社の方が1割安いですよ」と言われても、「いや、私はこの会社にお願いしたいから」と答えてくれる。 これがブランディングの正体であり、価格競争に対する最強の防御壁です。
【事例解説】伝え方を変えて価格競争を抜け出した成功事例
概念的な話だけでなく、中小企業が実際にどのように価格競争を脱出したのか、具体的な事例を見てみましょう。
事例1:古さを価値に変え、若者が殺到する人気店へ(BtoC)
「レトロ×サウナ×クラフトビール」という要素で、有名な実例は東京・錦糸町の黄金湯(こがねゆ)です。
Before:昔ながらの銭湯。
After:あえて古い建物の構造や煙突を残しつつ、内装をネオ銭湯としてリノベーション。番台をビアバーに改装し、オリジナルクラフトビールを提供。サウナを強化し、DJブースを設置するなど、若者のカルチャーと融合。
結果:銭湯=おじいちゃんの場所という常識を覆し、ファッションやカルチャーに敏感な若者が行列を作るスポットになりました。
事例2:技術力はあるが伝わらないを脱却。展示会で案件が殺到(BtoB)
「戦略×ブランディング×伝える力」という要素で、実例は山梨県の甲斐ダイアログシステム株式会社です。
Before: 技術力はあるが、自社の強みをうまく言葉にできず方向性が定まらない状態。展示会ではスペック説明に終始し、集客に苦戦していた。
After: 勝てる市場を見極める戦略を導入し、ターゲットを明確化。ロゴやブースを一新し、社員全員が「技術」ではなく「顧客への価値」を語れるよう意識改革を行った。
結果: 展示会で280社と名刺交換し、その8割が理想的な顧客という快挙。直後から依頼が殺到し、案件を断らざるを得ないほどの嬉しい悲鳴に変わりました。


埋もれた価値を発掘し、選ばれる理由を作る3つのステップ
では、貴社が明日から取り組める具体的なアクションステップを紹介します。
客観的な視点で自社の本当の強みを棚卸しする
まずは、自社の棚卸しです。 ここでのポイントは、社内の常識を捨てることです。こんなことは当たり前というフィルターを外してください。
以下の質問に答えてみましょう。
- お客様から褒められた言葉は何か? (仕事が早いね・いつも掃除が行き届いているね・君の笑顔がいいねなど、些細なことこそ重要です)
- 他社が嫌がること、やりたがらないことで、自社なら対応できることは何か? (小ロット、短納期、複雑な形状、早朝対応など)
- リピーターになってくれている顧客は、自社のどこを気に入っているのか? (可能であれば、実際に顧客に聞いてみるのがベストです。「なぜ、他社ではなくウチを選んでくれているのですか?」と)
誰に・どのような価値を・どのように届けるかを再定義する
棚卸しした強みをもとに、マーケティングの基本フレームワークである「3C分析」や「STP分析」を用いてビジネスを再設計します。
- Who(誰に): その強みを喉から手が出るほど欲しいと思っているのは誰か? (例:スピード対応なら、トラブル中の担当者)
- What(どのような価値を): その人はどんな未来(ベネフィット)を求めているか? (例:上司に怒られず、無事にラインを復旧させて安心したい)
- How(どのように): どのような媒体、どのような言葉ならその人に届くか? (例:綺麗なホームページよりも、検索連動型広告で「即日対応」と出す)
売上規模を追わず利益率を重視する経営へシフトする
勇気を持って捨てる決断をします。 利益最大を実現するためには、利益の出ない仕事や、理不尽な値引きを要求する顧客との取引を見直す必要があります。
断ったら売上が下がると恐怖を感じるかもしれません。 しかし、赤字スレスレの仕事で現場のリソース(時間と労力)を使い果たしてしまっては、本当に利益になる優良顧客への対応がおろそかになります。
悪い仕事を断ることで空いた時間と労力を、御社の価値を認めてくれる優良顧客へのサービス強化に充てるのです。 そうすれば、自然と顧客単価は上がり、利益率は改善していきます。
御社の本来の価値を言葉にし、届けるべき人に届けるために


価格競争からの脱出は、経営者としての決断から始まります。しかし、いざ実行しようとすると、多くの壁にぶつかります。
自社の強みが本当にこれでいいのか自信がない… 具体的にどうやって行えばいいかわからない…
第三者の視点が、埋もれた価値を輝かせる鍵に
自社の強みは、内部にいると意外と気づきにくいものです。自分たちの背中が見えないように、客観的な魅力がつい見過ごされてしまうことがあります。
社内の視点だけでは気づきにくい、お客様にとってのメリットを発見するためには、一歩引いた第三者の視点が役に立ちます。 客観的な診断を取り入れることで、御社の本来の価値が整理され、よりスムーズにお客様へ伝わるようになるはずです。
目指すのは利益体質な経営
私たちが提案するのは、流行りのマーケティング手法を押し付けて、闇雲に売上規模を拡大することではありません。
無駄な広告費、無駄な営業コスト、そして安売りによる現場の疲弊を極限まで減らし、 最大限の利益を生み出す最適解を見つけることです。
貴社のファンである顧客と適正価格で深く付き合う方が、利益はずっと多く残ります。そして何より、経営者自身と従業員の精神的な豊かさが取り戻せます。
戦略立案から実行まで。価値を届ける伴走支援
- 御社の埋もれている価値の徹底的な発掘
- 勝てるターゲットの選定・ペルソナ設計
- Webサイト、SNSなどへの具体的な落とし込み(伝え方の改善)
- 実行後の効果検証と改善
これらを、御社の社外パートナーとして、経営者様と同じ船に乗り、伴走型で支援します。 誰に、どんな価値を、どのように届けるか。 この問いに対する貴社だけの答えを、一緒に導き出します。
良いものを作っているのに……とお悩みの方へ
商品は良いはずなのに、なぜか評価されない。
もしそうお悩みなら、まずは一度ご相談ください。 貴社の価値を正当に評価し、適正な対価を支払ってくれる市場は、存在します。 まだ見えていないだけ、まだ伝わっていないだけです。
私たちと一緒に、価格競争という出口のない迷路から抜け出し、選ばれる企業へと生まれ変わりませんか?
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