浜松市中央区入野町。最新のシミュレーターが並ぶ洗練された空間の中で、デジタルな数値以上に人の温もりを大切にしようとしている経営者がいます。ELC浜松インドアゴルフ取締役横野さん。
効率化を求めた無人化が主流となりつつあるインドアゴルフで、なぜあえて有人という非効率な道を選び対話を重んじるのか。静岡県西部唯一のPGA公認施設という看板の裏側に隠された、日本一お客様を大切にするための志を詳しく伺いました。

独自の立ち位置
―― 本日はよろしくお願いします。まずは、現在どのような事業を展開されているのか教えてください。
よろしくお願いします。
ELC浜松は浜松市中央区入野町という地域にある、有人の会員制インドアゴルフ施設です。
―― 有人という言葉には何かこだわりがあるのでしょうか。
はい。最近のインドアゴルフ業界を見渡すとコストカットや24時間運営の利便性を追求した無人店舗が主流になりつつあります。スマホ一つで解錠し誰にも会わずに練習して帰る。確かにそれはスマートかもしれません。でも、私たちはあえてそこに反しています。
―― 有人運営が良かったエピソードはありますか?
もちろんあります。お客様が入店された際の挨拶や練習終わりの一言が有人ならではの居心地の良さを作っています。
無人店舗なら小さなトラブルや操作の不安がつきまとい、せっかくの練習時間が削られてしまう可能性があります。でも、ELC浜松ならスタッフがすぐに駆けつけその場で解決します。
なぜゴルフだったのか。

―― なぜこの浜松で、インドアゴルフという事業を始めようと思われたのでしょうか。
原点にあるのは、健康増進と生涯スポーツを、身近にしたかったという想いです。
ゴルフは、年齢を問わず一生続けられる素晴らしいスポーツです。適度な運動は健康寿命を延ばすために理想的です。しかし、近年の日本の気候は夏は命に関わるほどの酷暑、冬は体が強張って動かないほどの寒波。健康のためにゴルフ場や屋外練習場へ行ったはずが環境のせいで体調を崩してしまっては本末転倒です。
―― 環境が健康の邪魔をしてはいけない、ということですね。
そうですね。一年中20℃前後の快適な環境で、プロ公認の質の高い練習ができる場所を提供したい。その想いを形にするために静岡県西部では唯一となるPGA(日本プロゴルフ協会)公認の施設を立ち上げました。スポーツを安全にそして一生涯健やかに続けるための条件だと考えています。
第二の家のような存在

―― 事業において、大切にしていることは何でしょうか。
日本一お客様を大切にするという姿勢、その一点に尽きます。 どんな事業になっても入店時の温かな挨拶や対話から生まれる居心地の良さを忘れることはありません。
―― 事業を運営する上で、競合より優れている点はありますか?
はい。ELC浜松の施設内は、一般的なゴルフ練習場のような無機質さがないように設計してあります。無人のインドアゴルフで感じれない温かさがあります。そこはこだわったポイントです。他社がどれだけ資本を投じても真似できないELC浜松独自の強みは、第二の家となるような居心地を追求した内装や人にあります。
多くのインドアゴルフ場は、どこか近未来的なイメージや黒やグレーを基調としたクールで都会的なデザインを採用しがちです。確かにカッコいいかもしれませんが僕らが目指しているのは2つ目の家です。毎日通えるような居心地を作り出しています。
―― だからこそ、この明るさなんですね。
そうです。ドリンクバーを備えたラウンジも、単なる待ち合いスペースではなく居心地が良くなるような安心感を持たせています。リラックスした心の状態でゴルフを楽しんでいただきたい。リラックスしている時こそ、人間は最高のパフォーマンスを発揮し上達も早まると考えています。この居心地の良さはマニュアルで作れるものではありません。
目先の利益よりも、居心地を守る決断
―― お客様を大切にするという理念を掲げる企業は多いですが、そのためにあえて目先の利益を捨てる決断もされています。具体的に教えていただけますか。
以前、大手メーカーから試打会を大々的にやってほしいという依頼を受けたんです。実際に一度開催したところ、その一日だけで大きな売上が上がりました。経営者として数字だけを見れば成功です。定期的に開催すれば経営の安定にも大きく寄与したでしょう。でも、僕試打会の開催を控えることに決めたんです。
―― 目先の利益を捨ててまで、なぜ中止を決断されたのでしょうか。
その日の光景が、僕が理想とするELC浜松の在り方とはかけ離れていたからです。 試打会となるとどうしてもメーカー側の売りたいという営業活動が前面に出ます。もちろんメーカーさんは良かれと思ってやっていますし、道具も素晴らしいものです。しかし、ELC浜松に居心地や集中を求めて来ているお客様にとって、その空気感は決して心地よいものではないと肌で感じました。
―― お客様の居心地を優先したのですね。
はい。単価を上げることやイベントで瞬間的に稼ぐことは、この立地と設備そしてPGA公認という希少性を考えれば、決して難しいことではありません。でも、それを優先すればお客様との間に心地よさではない別の感情が生まれてしまう。目先の利益よりもお客様の居心地をを守ること。それが、僕たちが掲げる日本一お客様を大切にするという誓いに対する回答でした。
数字が語る:驚異的な退会率の低さ

―― ELC浜松が大切にされているお客様目線は、実際の数字にも反映されていますか。
正直に申し上げると、ELC浜松の退会率はインドアゴルフ業界内でも驚くほど低い水準を維持しています。 もちろん、急な転勤や引っ越しといったどうしても離れざるを得ない物理的な理由はあります。しかし、サービスへの不満や通うのが嫌になったという理由で辞められる方はほとんどいらっしゃらないのが現状です。
―― それは、横野さんの想いをお客様がしっかりと受け止めている証拠ですね。
そう感じさせてくれる、忘れられないエピソードがあります。あるお客様が仕事の都合で3年間海外へ行くことになったと、残念そうに相談に来られたんです。 通常であれば、そこで契約終了の事務手続きをして終わりです。しかし、その方は最後にこう仰ったんです。
3年後、浜松にかえってきたときにまたここに入会したいんだけど、その時は入会金とか事務手数料ってまたかかるのかな? と。
―― 帰ってきてもまた通いたいという施設だったということですね。
驚きました。 帰ってきたらまたELC浜松を使いたい、ここじゃなきゃダメなんだと思ってくれている。その言葉を聞いた時、私たちが目指してきた2つ目の家というあり方は、間違いなくお客様に届いていたんだなと感じれました。単なるゴルフの練習場という機能だけを提供していたら、帰ってきたときの話なんて考えないはずですからね。
未来への挑戦
―― ELC浜松を運営している中で、横野さんが次に見据えている将来像について教えてください。
今後は、ゴルフという枠に縛られずさまざまな事業を浜松で展開していきたいと考えています。そのすべての新事業において指標となるのは、顧客目線です。
自分たちがこれを作れば儲かるというプロダクトアウトの発想ではなく、この街に住む人たちが本当に欲しかったものを形にしていきたいんです。
―― 具体的にはどのような構想があるんでしょうか。
例えばですけど、子供を安心して連れていける広々とした全天候型の室内遊び場とかです。浜松は車社会で公園も多いですが、雨の日や猛暑の日に子供が思い切り安全に体を動かせて親も心からリフレッシュできる質の高い場所はまだ足りないと感じています。他にも、心から癒やされるような温泉施設など、人々の生活に寄り添い体温を感じられるサービスを多角的に展開していきたいと思っています。
―― 最後に、この記事を読んでいる読者の方へメッセージをお願いします。
世の中はますます便利になり、無人のインドアゴルフ店舗も増えています。しかし、効率化を突き詰めた果てに私たちが決して失ってはいけないのは人の温もりや居場所があるという安心感だと考えています。
入野周辺で、技術だけでなく居心地の良さも大切にしながらゴルフを楽しみたいという方は、ぜひ一度体験だけでもいいので足を運んでみてください。ELCならではの温かさとプロ公認の最高の設備、そして美味しいコーヒーを用意して待っています。心地よいゴルフの時間をELC浜松で始めていきましょう。
インタビューを終えて

横野さんの語る言葉には、最新テクノロジーを使いこなしながらもその中心には決して人を介在させることを忘れない揺るぎない信念が宿っていました。
単価を上げるのは簡単だけれど、心地よさを何よりも大切にしたいその誠実さが3年後の再入会を希望させるほどの、誰にも真似できない最強のブランドを築き上げています。
浜松・入野の温かな第二の家。ELC浜松はこれからもゴルフというスポーツを通じて、街に健やかな笑顔を届けてくれるに違いありません。




