感覚頼みの経営から脱却。利益率40%への改善と作戦ある打ち手をもたらしたマーケティング改革
Billie Jean King cafe
業種 飲食・移動販売業(キッチンカー) 従業員数 1〜20名

日常の中に、ちょっとした小ネタやほっこりする喜びを提供したい。そんな温かい想いと確かなクオリティのハンバーガーを武器に、キッチンカービジネスを展開する古川恭平様・終介様兄弟。コロナ禍以降、移動販売市場が活性化する中でお客様とのダイレクトなコミュニケーションを大切にファンを増やしてきました。
しかし、対等な兄弟経営であるがゆえに意思決定のスピードが上がらず、ターゲット選定や出店計画が感覚頼みになってしまい経営方針が曖昧になっていくという壁に直面していました。
この状況を打開するため、株式会社BELIFEの代表を務める山口に相談。単なるアイデア出しではない、市場分析から自社の強みを徹底的に洗い出すマーケティング研修を導入しました。
支援を経て感覚的だった出店計画やオペレーションは理にかなった作戦へと進化。既存現場でのメニュー改善や人件費の最適化が功を奏し利益率は従来の30%から40%(約1.3倍)へと大幅に向上しました。
今回は、マーケティング研修を通じてビジネスの本質と向き合ったと語る古川恭平様に、経営方針が曖昧な現状を整理できたプロセスや、マーケティングが自身に与えた価値観の変化について詳しく話を伺いました。
プロジェクト概要
| 企業名 | Billie Jean King cafe |
| 会社概要 | 業種:飲食・移動販売業(キッチンカー) 従業員数:1〜20名 |
| ご支援内容 | マーケティング研修・経営方針の整理 |
| ご支援期間 | スポット支援(3ヶ月) |
| ご支援前の状況 | 兄弟経営(対等な関係)ゆえに意見がぶつかり、悪い意味で経営展開のスピードが遅くなっていた。 ターゲットや検証の目的が定まらないまま色々な施策に手を出し、経営方針が整理されていなかった。 想いやパッションはあるものの、利益を残すための数字の裏付けやオペレーションの仕組み化ができていなかった。 |
| プロジェクトのサマリ | 市場分析と自社の強み、課題の洗い出し。 既存の出店現場(アウトレットやスポーツ観戦等)でのターゲットに合わせ、価格表記やフォント、セットメニューの組み合わせを最適化。 オペレーションの工夫により人件費等のコストを削減。 アイデアありきのギャンブル的な経営から、理にかなったPDCAを回せる作戦へと変化。 研修を通じて自分をマーケティングするという視点を得て、経営者自身の生き方や家族との時間の最適化にもポジティブな影響を波及。 |
ほっこりする喜びを届けるハンバーガーと、対等な兄弟経営のジレンマ
――まず、展開されていた事業のテーマや、大切にされていた想いについて教えてください。

古川 私たちは主にキッチンカーでハンバーガーの販売を行っています。単にお腹を満たすためではなく、日常の中にちょっとした会話の小ネタになったり、ほっこりポジティブな気持ちになれる小さなお祝いや出来事を提供するというテーマを掲げていました。
キッチンカーの良さは、お客様が期待感を持って並んでくれて、渡した瞬間のリアクションがダイレクトに見えることです。コンビニや普通の店舗とは違う、感情の通ったコミュニケーションを通じてこっちまで嬉しくなる。やりがいを持って販売していました。
――一方で、ご兄弟で共同経営をされる中での難しさもあったそうですね?
古川 そうですね。弟(終介さん)とやっていたのですが、お互いに対等であるがゆえに、役割分担が明確になりきっていない部分がありました。お金のことや売りたい商品の分担はしていたものの、「どういう展開をしていくか」「どこに出店するか」という経営方針のレベルになると、意見がどうしてもぶつかってしまう。
お互いに譲らないので、悪い意味で足踏みをしてしまい時間がかかってスピードが遅くなる。兄弟ならではのポジティブなエネルギーに変えきれず、もどかしさをずっと感じていました。
計画が整理されない――どこに向かうべきか見失った背景
――BELIFEにマーケティングの相談をしようと思った、一番のきっかけは何だったのでしょうか。

古川 当時は自分たちで色々な現場を試していました。売上が立たなくても、家の近くでリピートを狙おうとか。でも、その挑戦が「一体どういう検証のためにやっているのか」「本当にやりたいことなのか」が分からなくなってしまって。最初はざっくり決めていた計画も、行っている過程で見失ってしまうことがほとんどでした。
どこに向かっているのか分からなくなった時、方針を整理したいと思ったんです。どうすればお金を残せるのか、サービスの満足度を高めて次へ繋げられるのか。そのための型として思い浮かんだのがマーケティングでした。
当時、目の前の1人のお客様を大切にすることは大前提として、やるならちゃんと利益を叩こうという基準を譲りたくありませんでした。時間も手間もかけている以上、想いだけでは続けられない。売上や利益は喜んでもらえた量の証拠だと考えています。でも、その計算やリサーチが自分たちだけでは追いついていなかったんです。
「アイデア」と「作戦」は違う。市場分析と強みの洗い出しから始めた理由
――マーケティング支援(研修)が始まってからの印象的なエピソードを教えてください。
古川 実はBELIFEと関わる1年ほど前、別の知人のマーケターから並走させてほしいとアイデアをもらっていた時期がありました。その時は面白いアイデアは出たものの、今思えば何のためにそれをやるのかという目的に対しての深い思想がなく、戦術をただ行ってしまったと感じています。
一方で、BELIFEの山口がやってくれたのは、全く違いました。「市場がどうで、このサービスがどうで、自分たちの本当の強みはどこにあるのか」という徹底的な洗い出しからスタートしたんです。
パン、野菜、肉、接客……どこに重きを置くかで、ターゲットも提供すべき体験もガラリと変わる。その理屈を丁寧に詰めさせてくれました。
――弊社の第一印象や、支援のプロセスで戸惑いはありませんでしたか?
古川 山口とは中学の同級生なので、最初は「マーケティングの支援会社をやってるんだ、意外だな」というところから入りましたが、企業と向き合ってビジネスを組み立てる姿を見て、すごく興味が湧きました。
支援が始まって戸惑いというか、良い意味でドキドキしたのを覚えています。マーケティングの視点で自分たちのビジネスを俯瞰すればするほど、利益を叩きたいと言いながら、実はものすごく危ないリスク(ダークな部分)と向き合っていたんだとリアルに実感させられたからです。コロナ禍が明けて競合が増える市場環境も含め、見たくないマイナス面も冷静に見つめ直すきっかけになりました。
でも、理屈(フレームワーク)があるからこそ、「今回はこういう目的で、この計画を検証してみよう」と兄弟間でものスムーズに共有できるようになりました。失敗したとしても「この失敗にはこういう検証の意味がある」と捉えられるようになったのは、大きな変化でしたね。
利益率が30%から40%へ向上。数字と現場に落とし込んだ改善の成果
――実際に研修や支援を経て、数字や現場の行動にはどのような変化がありましたか。
古川 一番大きな数字の変化でいうと、利益率が劇的に上がりました。
以前は現場でのオペレーションや経費の工夫ができておらず、利益率は30%ほどだったのですが、支援を受けて数字と照らし合わせながら人件費をカットできるオペレーションの工夫や付加価値をつけて単価を上げるセットメニューの組み合わせを改善していきました。その結果、直近の3〜4ヶ月で利益率が40%ほどに向上(約1.3倍)し、しっかりとお金が残る体質を作ることができました。
出店に関しても、ただ市場に出ている募集枠に応募するだけでなく、今まで他社が出ていないけれど売上が叩けそうな場所(アウトレットやスポーツ観戦会場など)へ自分たちから掛け合って開拓するアクションができるようになり、年間を通じて大きな売上の柱を作ることができました。
プロジェクトサマリ(数値・行動の変化)
| 比較項目 | 支援前 | BELIFE支援後 |
| 利益率 | 約 30% | 約 40% (1.3倍に向上) |
| 施策の決定 | とりあえず綺麗に並べれば売れるという感覚 | 利益の残る商品を売るためのポップ・フォント・配置の計算 |
| 出店戦略 | 感覚で新しい現場に出てこけるリスクが高かった | 高売上な未開拓ルートを開拓 |
| 兄弟間の連携 | 意見がぶつかり足踏み・スピードの停滞 | 共通の目的を持ってスピーディに現場改善を回す |

――数字以外の、現場での見せ方へのこだわりも変わったそうですね。
古川 変わりましたね。やりたい商品を綺麗に並べれば売れるだろうではなく、この商品を先に売れば利益が伸びるから、ポップの値段表記やフォント、バナーの見せ方をどう工夫するかを弟ともガチッと目線を合わせて、スピーディに改善できるようになりました。車1台という限られたスペース(制約)だからこそ、どこまで顧客目線でこだわれるかという考え方の型が身につきました。
ビジネスの枠を超えて。価値観をも変えたマーケティングの本質

――今回のマーケティング研修を受けて、一番良かったと感じる部分を教えてください。
古川 もちろんビジネスの数字が改善したことも大きいですが、私個人として最も刺さったのは、マーケティングの考え方は、自分の生き方にも通じるという気づきを得られたことです。
自分という人間をどうマーケティングするか」「どう生きたら自分や従業員が幸せなのか」を俯瞰して見られるようになりました。若い頃は自分さえ良ければ満足していた部分もありましたが、自分がどう貢献すれば周りがポジティブになっていけるかを軸に行動できる人になりたい、と強く思うようになったんです。
お金をしっかり稼ぐスキルを身につけつつ、家族との時間をしっかりと確保する。そのための判断軸としてマーケティングの思考フレームが自分の生き方のベースにすっと馴染みました。これまでの人生でそこまで深く考えてこなかったので本当に大きな収穫です。
想いと誇りを持つ個人事業主・中小企業にこそ、BELIFEの支援を
――BELIFEの伴走支援は、どのような会社や経営者に合うと思いますか。
古川 自分たちの商品やサービスに強い誇りや思いがあり、価値を信じているけれど、それをどうやって本当に欲しい人(ニーズを持つ人)に届ければいいか分からないという人にぴったりだと思います。
自分たちでは気づけていない魅力や、逆に目を背けたくなる課題も含めてBELIFEは一緒になって整理してくれます。単なるアイデア出しではなく、何のためにやるのかという目的を持った作戦を立てられるようになるので、成功確率を圧倒的に高められるはずです。
――今後の古川さんの展望と、BELIFEに期待することを教えてください。
古川 今はまだ自分のキャリアやビジネスの方向性を模索している最中ですが、やってみたいことはたくさんあります。学んだマーケティングのスキルを活かして、個人としてもしっかり稼げる人間になりたいですね。
また、BELIFEには今後、私たちのようなスモールビジネスや個人事業主レベルの人たちにも、マーケティングを通じてアクションを起こすきっかけをどんどん提供していってほしいです。
現在はある程度の規模の中小企業がメインだと思いますが、世の中には熱い思いを持った個人や小規模事業者がたくさんいます。そこに目を向け、更に良いサービスを適切に届けられるようになっていってほしいです。

(撮影・取材・文・編集/ 伊藤麗生)
本プロジェクトのコンサル

代表取締役 山口 玲偉
1995年生まれ。静岡県浜松市育ち。大学在学中に個人事業主や長期インターンを経験し、卒業後は株式会社北の達人コーポレーションで勤務。その後、ITベンチャーに転職し、SaaSの新規事業立ち上げに従事。複数事業部のマネージャーとしてマーケティングの責任者を担当し、toC・toBの領域を問わず新規集客の拡大を実現。同時に複業でマーケティングコンサルタントとして大手企業を含む様々なクライアントに対してサポートを実施。のちに、BELIFEを創業し現在に至る。
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