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最終更新日:2026.10.13

マーケティング組織の作り方|中小企業の成果を左右する橋渡し役とは

この記事でわかること

  • マーケティング部とマーケティング組織の違い
  • 中小企業のマーケティングが空回りする理由
  • 成果を左右する橋渡し役の役割と戦略・戦術との関係
  • 自社に合ったマーケティング組織を作る5つのステップ

マーケティング組織とは

マーケティング組織とは

マーケティング組織の定義

一般的にマーケティング組織とは、企業の商品やサービスを広く認知させ、需要を創出するために組織された専門グループを指します。
[※引用文献]

弊社BELIFEでは、マーケティング組織を単なる担当者の集まりではなく、次のサイクルを回し続けるための役割と意思決定の仕組みとして捉えています。

顧客や市場の理解 → 戦略の策定 → 戦術への落とし込み → 実行と改善 →(この繰り返し)

マーケティング部との違い

マーケティング部という部署があることとマーケティング組織が機能していることは、必ずしも一致しません。

たとえば社員10名の会社がマーケティング部を新設しても、担当者それぞれの業務がつながっていなければ、組織としては機能していません。反対に、社員5名で制作や広告を外注している会社でも役割と意思決定が適切につながっていれば、マーケティング組織として成立します。問われるのは人数や部署の有無ではなく、役割が遂行されて改善を続けられる体制になっているかどうかです。

マーケティング組織が担う5つの機能

マーケティング組織が担う仕事は、大きく次の5つに分けられます。

  1. 戦略の策定:市場や競合を分析し、進む方向と目標、予算や人員の配分を決める
  2. 顧客理解とターゲット設定:自社の価値を最も必要としている顧客を明確にし、その悩みや購買に至るまでの流れを把握する
  3. ブランド構築:広告からアフターサポートまで、すべての接点で一貫した印象と体験を届ける
  4. チャネルの選定と実行:SNS、広告、PR、コンテンツなどから顧客との接点を選び、施策を実行する
  5. 成果の分析と改善:施策の結果をデータで評価し、次の戦略や施策に反映する

この5つは、組織がやるべき仕事の中身です。一方、後ほど紹介する3つの役割は、これらの仕事を誰が決めて、誰が現場の言葉に翻訳し、誰が実行するかという分担を表しています。

中小企業のマーケティングが空回りする理由

全員が頑張っているのに成果が出ない典型例

たとえば、社長が問い合わせを増やしたいと考えたとします。それを受けて、広告代理店は広告の出稿を増やそうと提案し、制作会社は新しいLPを作ろうと提案します。社内のSNS担当は、Instagramのフォロワーを伸ばそうと奮闘します。

全員が頑張っているのに成果が出ない典型例

一人ひとりの提案は、どれも間違っていません。しかし、誰にどんな価値を届けるのか、どのチャネルを優先して何をやめるのかを統合して判断する人がいません。その結果、全員が頑張っているのにマーケティング全体としては前進しない状態に陥ります。

空回りしている会社に見られる4つの特徴

このような会社では、次のような特徴がよく見られます。

  • 社長が制作会社や代理店と直接やり取りし、すべてのディレクションを抱え込んでいる
  • 各担当者が自分のKPIだけを追い、会社全体の目標とのつながりが見えていない
  • 広告のクリック数やSNSのフォロワー数など個別の数字は良いのに、売上が伸びない、またはむしろ悪化している
  • 社長の頭の中では方針を転換しているのに、担当者や外注先は以前と同じ施策を続けている

原因は人数ではなく橋渡し役の不在

中小企業は大企業に比べて人数が少なく、1人がいくつもの業務を兼任しています。ただ、人数が少ないこと自体は問題ではありません。

方針を決める社長と施策を実行する担当者や外注先はいても、その間をつなぐ役割が抜け落ちている。これが問題です。経営の方針を現場が動ける形に変換し、施策同士を統合する役割がなければ、各担当者は自分の判断で施策を進めるしかありません。その結果、会社が向かう方向と現場の動きが少しずつずれていきます。

本記事では、この役割を橋渡し役と呼びます。同じことは大企業でも起こりますが、専任者を置く余裕のない中小企業ほど、橋渡し役が欠けやすい傾向にあります。

マーケティング組織に必要な3つの役割|戦略・橋渡し・戦術

マーケティング組織に必要な3つの役割|戦略・橋渡し・戦術

戦略・橋渡し・戦術の全体像

マーケティング組織を最小構成で作るなら、必要な役割は戦略・橋渡し・戦術の3つです。それぞれ、次の問いに答える役割を担います。

役割担う問い主な担い手
戦略どこへ向かうのか社長、事業責任者
橋渡し戦略をどう実行できる形にするのかマーケティング責任者、マーケター、外部の支援会社
戦術どう実行するのか社内の担当者、広告代理店、制作会社、SNS運用代行

この3つが機能していれば、部署の大きさにかかわらず組織は回ります。

必要なのは3人ではなく3つの機能

3つの役割は、それぞれ別の人が担う必要はありません。1人が2つ以上の役割を兼ねても問題ありません。

創業したばかりの会社なら、社長が3つすべてを担うことも少なくありません。人が増えれば、社長が戦略に専念して社員1人が橋渡しと戦術を兼ねる形でも成立します。最初から外注を活用するなら、社長が戦略を考え、橋渡しをマーケティング支援会社に、戦術を制作会社や代理店に任せる形も考えられます。

中小企業には部署を細分化する余裕がありません。「部署があって人がいて、そこに仕事を割り振る」のではなく、「まず仕事があり、それを担う役割があり、最後に人がいる」という順番で考えることが、限られたリソースで組織を機能させる近道です。

戦略:社長がやるべきことと手放すべきこと

中小企業では、戦略を担うのは基本的に社長です。会社がどこへ進むのかは、支援会社がついていても社長自身が決めなければなりません。たとえば、次のような判断です。

  • 今期は新規顧客の獲得よりも客単価の向上を優先する
  • 若年層は当面ターゲットから外す
  • 営業利益率が20%を下回る案件は受けない

一方、創業初期を除き、広告の調整やバナーの修正といった日々の実務は手放すべきです。戦略を考える時間がなくなるうえ、手段そのものが目的になりやすいからです。

ただし、手段をすべて手放すのは現実的ではありません。メタ広告のクリック率の上げ方は任せて構いませんが、なぜメタ広告に投資するのかは社長が説明できなければなりません。社長に必要なのは、手段を選ぶ基準を持つことです。

橋渡し:経営の言葉を現場の行動に翻訳する6ステップ

BELIFEでは橋渡し役を、経営者の言葉をマーケティングの方針に変換し、さらに現場が実行できるレベルまで翻訳できる人と定義しています。

たとえば社長がブランド力を上げたいと言ったとき、橋渡し役はそれをそのまま広告代理店に依頼しません。まずはブランド力が何を指すのかを整理します。誰からどう認識されたいのか、何を計測すれば変化が分かるのかを明確にするのです。そのうえでターゲット、提供価値、訴求、チャネルを決め、KPIと各担当者の仕事にまで落とし込みます。

この仕事は、次の6つのステップで進みます。

  1. 理解:経営者、顧客、市場、現場の状況を把握する
  2. 構造化:課題を整理し、優先順位をつける
  3. 選択:SEO、広告、SNSなど、何をやり何をやらないかを決める
  4. 翻訳:売上を伸ばすという方針を、問い合わせ件数やCVRの改善幅といった具体的な目標に変える
  5. 調整:営業、制作、広告運用など、各戦術の担当者や外注先につなぐ
  6. 改善:施策の結果を見て、戦術や方針の優先順位を継続的に見直す

橋渡し役がいることで、経営の方針からマーケティング、現場の実行までが一本の線でつながります。

こうした仕事を担う橋渡し役に最も求められるのは、全体最適で考えられることです。市場から現場の数字まで全体を見渡して最大のボトルネックを見極め、何を取り何を捨てるかを決める力です。

戦術:担当者と外部パートナーの役割

戦術を担うのは、社内の担当者や広告運用代理店、制作会社、SNS運用代行などの外部パートナーです。ただし、指示されたことを実行するだけが役割ではありません。社長もすべての戦術に精通しているわけではないため、専門家だからこそ見える改善案や選択肢を提案することが求められます。

そうした意見を最終的に統合して判断するのが、橋渡し役です。戦略・橋渡し・戦術のどれか一つが欠けても、組織は機能しません。全員がそれぞれの領域を深めながら、同じゴールを見ていることが欠かせません。

代表的な3つの組織形態

マーケティング組織の形態は、主に部門並列型、プロジェクト型、企画室型の3つに分けられます。ただし、これらの形態は3つの役割をどう配置するかの器にすぎません。どの形態を選んでも、戦略・橋渡し・戦術が機能していることが前提になります。

部門並列型

部門並列型

営業部や人事部と同じ階層に、マーケティング部を独立した部署として置く形態です。社内に散らばる専門人材を集め、施策の立案から実行までを担わせます。向いているのは、マーケティング業務の量が多く、専任者を置ける会社です。

 

【メリット】専門性が蓄積しやすく、責任の所在が明確になる。施策を継続的に運用しやすい
【デメリット】部署内で業務が完結しやすく、営業部などとの間に壁が生まれ、商品や顧客の情報が入りにくくなる。(ただし、壁を意識して運用できれば、専門性を活かせる)

プロジェクト型

プロジェクト型

各部署のメンバーが自部署に所属したまま、部署横断のチームとしてマーケティングに取り組む形態です。向いているのは、専門部署を作るほどの人員はいないものの、複数の部署を巻き込める会社です。新規事業や新商品の立ち上げにも適しています。

 

【メリット】少人数でも始められる。営業や商品開発の担当者も参加するため、現場の知識を集めやすい
【デメリット】本業が優先され、後回しになりやすい。最終決定者が曖昧になりやすく、リーダーに権限がないと動きが止まる

企画室型

企画室型

社長の直下や経営企画の近くに少人数のチームを置き、全社を横断してマーケティングの方針と優先順位を決める形態です。橋渡しの役割を組織の形にしたものともいえます。社長の意思決定がマーケティングに大きく影響する会社や、複数の外注先を使っている会社、専任の責任者を増やせない会社に向いています。

 

【メリット】経営とマーケティングがつながりやすく、少人数でも成立する。外部パートナーを柔軟に活用できる
【デメリット】現場から離れやすく、社長と現場の間に温度差が生まれることもある。橋渡し役の能力への依存度も高い

中小企業に適した組織形態

中小企業は、まずプロジェクト型から始めるのがおすすめです。少人数で始められて現場の知識も集めやすいからです。いきなりマーケティング部を作って2〜3人を採用する必要はありません。戦略は社長が担い、橋渡しはプロジェクトリーダーが務めます。戦術は社内の担当者や外部の専門会社に任せれば、組織は十分に機能します。その際、リーダーには最終判断の権限を持たせることが欠かせません。

マーケティング組織の作り方5ステップ

マーケティング組織の作り方5ステップ

ステップ

1

マーケティング業務の書き出し

まずは、現在社内で行っているマーケティング業務をすべて書き出します。広告運用、SNS投稿、Webサイトの更新、展示会への出展など、外注している業務も含めます。漏れを防ぐには、前述した5つの機能を観点にすると整理しやすくなります。

ステップ

2

意思決定者と実行者の整理

書き出した業務ごとに、誰が決めていて、誰が実行しているかを書き添えます。決める人と実行する人を分けて書くのがポイントです。決める人の欄が空白の業務や社長の名前ばかりが並ぶ業務が見えてくるはずです。

ステップ

3

戦略・橋渡し・戦術への分類

次に、それぞれの業務と担当者を戦略・橋渡し・戦術のどれにあたるかで分類します。会社の方向性を決めているのか、方針を施策に落とし込んでいるのか、施策を実行しているのかで判断します。

ステップ

4

欠けている役割の特定

分類すると、誰も担っていない役割が浮かび上がります。多くの中小企業で欠けているのは橋渡し役です。

ここで注目すべきは、担当者の不在ではなく判断する人の不在です。たとえば、広告担当がいないことよりも広告をやるかどうかや成果をどう評価するかを判断する人がいないことの方が、はるかに大きな問題です。

ステップ

5

採用・育成・外注による補完

最後に、欠けている役割を採用、育成、外注のいずれかで補います。

戦略と橋渡しが機能しているなら、足りないのは実行の手数です。その場合は、広告代理店や制作会社などの専門会社と契約し、連携すれば解決します。一方、施策は動いているのに橋渡し役がいない場合は、橋渡し役の確保を優先しましょう。

橋渡し役を社内で育てるか外注するかの判断

社内育成か外注かの二者択一で考えるのは現実的ではありません。数字を早く立て直すには外部の力が必要ですが、自社特有の知識が重要になるほど外部だけでは物足りなくなるからです。

そこで、BELIFEがおすすめしているのは外部の支援会社が橋渡しを担いながら社内の担当者と一緒に動き、判断のプロセスを徐々に社内へ移していく方法です。社内が主体となった後は、外部の支援から卒業しても、外部パートナーがより上位の支援へ役割を移しても構いません。

外部パートナーの選び方

橋渡し役を外部に任せるなら、何をやってくれるかより何をやらないと決めてくれるかで会社を選びましょう。たとえば、問い合わせが少なくSEOに興味があると相談したとします。すぐにSEOを勧める会社より、本当に優先すべきかを一緒に判断してくれる会社の方が信頼できます。
見極めのポイントは次のとおりです。

  • 専門領域の実績だけでなく、経営の視点で話ができる
  • 複数の施策を比較し、優先順位をつけられる
  • 数字と、顧客や営業などの現場の両方を見られる
  • 自社のサービスが相手のフェーズに合っていないとき、正直にそう伝えられる

最後のポイントは特に重要です。自社のサービスを売らない判断ができる支援会社こそ、橋渡し役を任せるにふさわしいパートナーです。

支援会社選びに役立つ無料資料

マーケティング支援会社の選定基準

支援会社を選ぶときに確認したい基準をまとめた資料です。複数の会社を比較検討する際にご活用ください。

8割の精度で動くための判断基準

8割の精度で動くための判断基準

8割の精度とは

100%成功する施策は存在しない以上、マーケティングでは完璧を求めて足踏みすることが大きなリスクになります。BELIFEでは、失敗してはいけない重要な前提さえ確認できていれば残りは実行しながら検証した方が早いと考えています。その目安が8割の精度です。

ただし、8割は情報が80%揃ったら実行するという意味ではありません。あくまで感覚の目安なので、人によって調整するのも有効です。慎重すぎる担当者には5割の段階で動き出すよう促し、深く考えずに進めがちな担当者には十分な準備を求めます。

実行を判断する4つの基準

実行に移すかどうかは、次の4つの基準で判断します。4つすべてを満たしていれば、100%の確証を待たずに進めて構いません。

基準確認すること
目的何のためにやるのかが明確になっているか
仮説顧客や市場について、根拠のある仮説があるか
リスク間違えた場合の損失を許容できるか
検証実行後に、うまくいったかどうかを判断できるか

ただし、求める精度は意思決定の規模によって変わります。10万円ほどの広告なら、まず出稿して反応を見た方が早く答えを得られます。一方で、数千万円の設備投資や撤退が難しい新規事業は、同じ精度で判断してはいけません。

まとめ

マーケティング組織づくりの本質は、部署を作ることではなく戦略・橋渡し・戦術の3つの役割を機能させることです。特に中小企業では、経営の方針を現場の行動に翻訳する橋渡し役の有無が成果を大きく左右します。

最初から理想の組織図を目指す必要はありません。まずは今の業務を書き出し、誰が決めて誰が実行しているかを整理するところから始めてみてください。欠けている役割が見えれば、採用・育成・外注のどれで補うべきかも自然と明らかになります。

貴社に合ったマーケティング組織を一緒に描きませんか?

BELIFEでは、事業フェーズやリソースに合わせたマーケティング組織構築の無料相談を実施しています。戦略と現場のズレの埋め方や橋渡し役の確保について、中小企業の支援経験が豊富な専門家が具体的なステップをご提案します。

  • 今の組織に欠けている役割を知りたい
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貴社のフェーズに弊社の支援が合わない場合は、その旨も率直にお伝えします。どんな小さなお悩みでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

溝辺悠真

溝辺悠真
ミゾベ ユウマ

静岡県浜松市在住。地元の大学に通いながら株式会社BELIFEでインターンとして活動。中学から陸上競技を続け、現在はトレイルランニングやウルトラマラソンで全国各地の大会に挑戦中。競技で身体と向き合ってきた経験から鍼灸師を志す。将来は不定愁訴や睡眠障害など原因がはっきりしにくい不調に対し、自律神経へのアプローチを軸とした鍼灸院の経営を目指す。いずれ自ら事業を営む立場から、中小企業の経営者に向けた実践的な記事を執筆。