3C分析とは?|顧客の価値基準から勝ち筋を見つける7ステップ

3C分析は、マーケティングの基礎となるフレームワークとして知られています。一方で、顧客・競合・自社をそれぞれ調べて表を埋めただけで終わり、結局どこで勝てばよいのかが分からないままになっているケースも多く見られます。
本記事では、BELIFE代表・山口が支援現場で実践している3C分析の進め方を、具体例とともに7つのステップで解説します。
この記事でわかること
- 3C分析の定義と3つの視点の関係から勝ち筋を見つける考え方
- 顧客・競合・自社それぞれで見るべきポイント
- 戦略仮説を一文にまとめるまでの7ステップとSTP分析へのつなげ方
3C分析とは

3C分析の定義
3C分析とは、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点から事業環境を分析するフレームワークです。経営コンサルタントの大前研一氏が提唱したとされ、マーケティング戦略を考えるときの基本的な分析として広く使われています。
弊社では、3C分析を「顧客の価値基準を起点に、競合と自社を重ねて勝ち筋を見つける分析」と定義しています。
マーケティング戦略における3C分析の位置づけ
弊社では、マーケティング戦略を次の流れで策定しています。
① 外部環境を把握する
- PEST分析:社会全体がどう変わっていくかというマクロ環境を把握する
- ファイブフォース(5Forces)分析:業界構造がどう変わっていくかを把握する
- 市場調査(定量調査・定性調査):実際の市場や顧客がどうなっているかを確認する
② 自社の戦い方を考える
③ 戦略を検証し、決める
- 3C分析(本記事):選択肢が本当に勝ち筋になるかを検証する
- STP分析:狙う市場と自社の立ち位置を決める
3C分析では、クロスSWOT分析で出た社内目線の仮説が本当に顧客に求められているか、競合に勝てるか、自社の強みが顧客から見ても強みなのかを市場側から確かめます。
3つの視点と勝ち筋の関係
3C分析で最も重要なのは、3つの視点それぞれの中身ではなく、3つの関係から勝ち筋を見つけることです。

よくある3C分析では、次のように3つの枠を埋めて終わってしまいます。
- 顧客:30代の女性が中心。市場規模は毎年伸びている。
- 競合:A社は価格の安さ、B社は品ぞろえ、C社は知名度が強み。
- 自社:技術力が高く、顧客対応が丁寧で、実績も多い。
どの欄も一見よく書けていますが、3つがつながっていないため、結局どこで勝てばよいのかが分かりません。顧客が求めていて、競合が十分に満たせておらず、自社なら提供できる。顧客と自社が重なり、競合とは重ならないこの領域が勝ち筋になります。

3C分析は、マーケティングの分析の中でも一番と言っても過言ではないほど大事な分析です。表を埋めることではなく、3つの関係から勝ち筋を見つけることをゴールにしてください。
3C分析の3つの視点

3C分析は、顧客→競合→自社の順に分析します。自社から始めると「うちの強みはこれだから、それを求める顧客を探そう」という自社都合の分析になりやすいため、まず顧客から見ていきます。
顧客(Customer):何を価値と感じているか
顧客分析では、顧客が誰かよりも何を価値と感じているかを重視します。たとえば、注文住宅を検討する同じ30代の夫婦でも価格を重視する人とデザインを重視する人では、選ぶ会社が変わります。市場規模や属性も見ますが、戦略につなげるには次のような点まで捉えます。
- 悩み:何に困り、何に不安を感じ、何を実現したいか
- 選び方:何を基準に比較し、何が決め手になるか
- 判断の境目:高くても払うか、何があると選ばないか、今どんな代替手段を使っているか
競合(Competitor):その価値をどこと奪い合っているか
競合は同業他社だけではありません。顧客が同じ目的を満たすために比べている相手は、すべて競合になります。ファイブフォース分析の代替品の脅威とも関連します。この価値を求める顧客にとって競合はどこかを考え、顧客が自社ではなくその競合を選ぶ理由を理解することが大切です。
【関連記事】ファイブフォース分析とは?|目的と5つの競争要因、利益構造を見抜く方法
自社(Company):自社だから提供できる価値は何か
自社の分析では、顧客が求めていて競合が十分に満たせていない価値を自社が本当に提供できるのかを確かめます。SWOT分析が自社の強みと弱みを棚卸しする分析なのに対し、3C分析ではその強みが今回の顧客と競合の中で勝つために使えるかを見直します。たとえば、地域で一番安いことが強みの店でも顧客が大手ECモールと比べているなら、価格の安さは今回の勝ち筋には使えません。
3C分析の進め方7ステップと具体例

ここからは、実務で3C分析を進める手順を7つのステップで解説します。例として、地域で複数の店舗を展開するシニア向けの生活用品店を取り上げます。この店は接客に慣れたスタッフが多い一方、価格や品ぞろえでは大手に押されている状況です。
ステップ
1
クロスSWOT分析の戦略オプションを持ってくる
最初に、クロスSWOT分析で出た戦略オプションの中から、検証したい仮説を1つ持ってきます。何を確かめたいかを決めずに調べ始めると、情報を集めること自体が目的になってしまいます。例の生活用品店では、相談しながら安心して商品を選べる専門店を目指すという戦略オプションから、検証する仮説を次のように置きました。
検証する仮説:価格が高くても専門的な接客を求めるシニア層に対して、接客の専門性という強みで勝てるのではないか
ステップ
2
顧客を深掘りする
次に、仮説の対象となる顧客について誰がどんな状況で何に困り、何を基準に選ぶのかを整理します。顧客の情報は、定量と定性の両面から集めます。定量なら購買データやアンケート、定性ならインタビューや問い合わせ内容などが情報源になります。顧客が何を重視しているかは社内会議だけで決めず、現場から直接得た一次情報で確かめましょう。
【関連記事】一次情報とは?二次情報との違いと使い分け、集め方・活用方法
例の生活用品店では、店頭での会話や購入時のヒアリング、問い合わせ内容から次のように整理できました。
| 項目 | 整理した内容 |
|---|---|
| 誰が | 足腰が弱り始めた70代の本人と、親の買い物を手伝う子世代の家族 |
| どんな状況で | 転びやすくなった、立ち座りがつらくなったと感じ始めたとき |
| 何に困っているか | 種類が多く、自分の体に合うものが分からない |
| 何を求めているか | 実際に試して、体に合うものを選びたい |
| 過去の不満 | 本人は、通販で買った介護用の靴が足に合わなかったが、相談できる先がなく結局使わなくなった。家族は、合わなかったときの問い合わせや返品を代わりに引き受けている |
| 本人が選ぶ基準 | 使いやすさ、相談できるか、価格、すぐ手に入るか |
| 家族が選ぶ基準 | 品ぞろえ、見比べやすさ |
ステップ
3
価値基準を複数出す
顧客が商品や店を選ぶ基準を、1つに絞らずに複数書き出します。価値基準が1つだけだと、競合も自社の強みも一面的にしか見えません。例の生活用品店では、ステップ2の整理から次の5つの価値基準が見えてきました。
- 価格の安さ
- すぐに手に入る手軽さ
- 品ぞろえの多さ
- 自分の体に合うものを選べる安心感
- 購入後の相談・調整
品ぞろえの多さは家族の基準から、購入後の相談・調整は本人と家族の不満から見えてきました。本人は合わなかったときに相談できる先がなく、問い合わせや返品は家族が代わりに引き受けていました。このように選ぶ人によって基準が違う場合は、人ごとに分けて整理しましょう。顧客がはっきり言葉にしていない基準も、不満や代替手段から拾い上げられます。
ステップ
4
価値基準ごとに競合を出す
価値基準ごとに、その基準で顧客が比べている相手を書き出します。同業他社だけでなく、顧客が同じ目的を満たすために使っている手段まで含めましょう。
| 価値基準 | 主に重視する人 | 競合になる相手 |
|---|---|---|
| 価格の安さ | 本人 | ドラッグストア、ホームセンター |
| すぐに手に入る手軽さ | 本人 | ドラッグストア、大手ECモール |
| 品ぞろえの多さ | 家族 | 大手ECモール、ホームセンター |
| 体に合うものを選べる安心感 | 本人 | 介護用品専門店 |
| 購入後の相談・調整 | 本人・家族 | 介護用品専門店 |
ステップ
5
価値基準に対する競合の強弱を見る
次に、競合がそれぞれの価値基準をどの程度満たしているかを、顧客の声や競合の店舗・サイトの調査をもとに評価します。
| 価値基準 | ドラッグストア・ホームセンター | 大手ECモール | 介護用品専門店 |
|---|---|---|---|
| 価格の安さ | ○ | ○ | △ |
| すぐに手に入る手軽さ | ○ | ○ | △ |
| 品ぞろえの多さ | △ | ○ | ○ |
| 体に合うものを選べる安心感 | × | × | ○ |
| 購入後の相談・調整 | × | × | △ |
この表から、購入後の相談・調整はどの競合も十分に満たせていないことが分かります。介護用品専門店は店舗が少なく、何度も通うのは負担が大きいためです。探すのは、競合がやっていないことではなく、顧客が求めているのに競合が満たせていない価値です。競合がやっていないのは、顧客が求めていないからかもしれません。
ステップ
6
自社を重ねて勝ち筋を探す
ステップ5の評価に自社を重ね、顧客が求めていて競合が弱く自社が強い領域を探します。例の生活用品店は、価格・手軽さ・品ぞろえでは大手に、商品選びの安心感では介護用品専門店に勝ちにくい状況です。一方、地域の複数店舗と接客に慣れたスタッフを生かせば、購入後の相談・調整で優位に立てる可能性があります。
この候補が本当に勝ち筋といえるかを、次の4つの条件で確かめます。
| 条件 | 確認する問い | 例の生活用品店 |
|---|---|---|
| 顧客価値 | 顧客が本当に求めているか | ○ 合わなかったときに相談できる先がなく、使わなくなったという声がある |
| 市場の隙 | 競合が十分に満たせていないか | ○ ドラッグストアや通販では対応できず、介護用品専門店は店舗が少ない |
| 自社の優位性 | 自社が優位に提供でき、再現できるか | △ 地域に複数の店舗と接客に慣れたスタッフがいるが、購入後の相談・調整を提供できる体制は要確認 |
| 事業性 | 市場規模や利益があり、実行できるか | △ 相談のための来店が購入につながるか、価格を上げても選ばれるかは要確認 |
例の生活用品店では提供体制と事業性に確認が必要なため、STP分析や実際の検証で確かめていきます。
▼ ポイント:自社にしかできないことでなくてよい
勝ち筋は、自社にしかできない唯一無二の価値である必要はありません。自社だけができるかどうかより、この顧客がこの状況で自社を選ぶ理由があるかどうかで判断しましょう。
ステップ
7
戦略仮説を一文で言語化する
最後に、見つけた勝ち筋を戦略仮説として一文にまとめます。次の型に当てはめると、まとめやすくなります。
▼ 一文の型
〇〇に困っている△△に対して、競合が十分に提供できていない□□という価値を、自社の××という強みで提供する
▼ 例の生活用品店の場合
「買った後に相談できる先がなく困っている70代とその家族に対して、通販や介護用品専門店では得にくい購入後の気軽な相談・調整を、地域の複数店舗と接客の専門性という強みで提供する」
ステップ1では商品を選ぶ時点の接客で勝てると考えていましたが、3C分析を通じて勝ち筋は購入後のサポートにあるという仮説に磨かれました。3C分析には仮説を確かめるだけでなく、その精度を上げる役割もあります。

3C分析の最終的なアウトプットは、表ではなく一文にしてください。誰に対してどんな価値で、誰と比べられたときに、なぜ自社が選ばれるのか。これを説明できなければ、まだ3Cはつながっていません。
3C分析の注意点とSTP分析へのつなげ方
最後に、3C分析でつまずきやすい点と次のSTP分析へのつなげ方を解説します。
うまくいかないときの立て直し方
3C分析がうまくいかないときは、今の状態に合わせて次のステップに立ち返ります。
| こんな状態なら | 立ち返るステップ |
|---|---|
| 情報は集まったが、何を確かめたいのかが分からない | ステップ1:検証する仮説を1つ決める |
| 顧客がなぜ選ぶのかを説明できない | ステップ2・3:顧客を深掘りし、価値基準を出す |
| 競合に同業他社しか挙がっていない | ステップ4:価値基準ごとに競合を出す |
| 表は埋まったが、どこで勝つかが分からない | ステップ5・6:価値基準ごとに競合と自社を比べる |
| 自社の強みの根拠が社内の評価しかない | ステップ6:顧客の評価や実績、データで確かめる |
3C分析からSTP分析へのつなげ方
3C分析では、市場にどんな価値基準があり、その中でどこに勝ち筋がありそうかが分かります。ただし、ステップ7の一文で置いた顧客はまだ仮置きで、どの軸で市場を分けどこを狙うかまでは決まっていません。そこで次に行うのがSTP分析です。
STP分析では、3C分析で見つけた顧客の価値基準をもとに市場を分け、狙う市場と自社の立ち位置を決めます。2つの違いは次のとおりです。
| 項目 | 3C分析 | STP分析 |
|---|---|---|
| 目的 | どこに勝てる可能性があるかを探す | 誰を狙い、どこに立つかを決める |
| 分かること | 市場にある価値基準と勝ち筋の候補 | 狙う市場と自社の立ち位置 |
なお、3C分析で見つけた勝ち筋はまだ仮説にすぎません。STP分析やペルソナ設計、コンセプト設計と進めて解像度を上げ、最終的には市場の反応で確かめます。
まとめ:3C分析で顧客の価値基準から勝ち筋を見つける

3C分析は、顧客・競合・自社を調べて表を埋めるためのフレームワークではありません。顧客が何を価値と感じているかを起点に、その価値を誰と奪い合い、自社がどこで選ばれるのかを見つける分析です。顧客は属性ではなく価値基準で捉え、競合は価値基準ごとに洗い出し、自社の強みは市場との関係から見直します。見つけた勝ち筋は、誰にどんな価値で選ばれるのかという一文にまとめます。まずはクロスSWOT分析で出た戦略オプションを1つ選び、その顧客が何を基準に選んでいるのかを書き出すところから始めてみてください。

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